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「『9割が飛ぶ』と言われる世界で…」47歳の普通のOLが、“受刑者専用”の求人雑誌を作った数奇な経緯

#1

――一筋縄ではいかないんですね。

三宅 応募者の側も、厳しく管理してほしいという人はいますからね。ただそれも程度問題で、「雇ってやったんだから何があっても文句を言うな」という会社では困ります。犯罪歴がある人は再就職が難しいからと足元を見る経営者も世の中にはいて、求人誌を始める前は「出所者雇用を積極的におこなっている会社で就労したことがあるが、超ブラックだった」「狭い寮に何人も押し込められて生活環境が最悪」という話を何度も聞きました。

――残念ながらいかにもありそうな話です。

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三宅 だから『Chance!!』に掲載してもらう企業は、代表者から直接お話をお聞きした上でこちらで選定させて頂いています。出所者を雇用する理由を聞き、出所者の身元引受人になることは可能か、寮や社宅の住宅支援や当座の生活費支援をすることは可能かなどをお聞きして、この会社は社員を大切にしていなそうだと感じたら掲載はお断りしています。

©文藝春秋 撮影/宮崎慎之輔

――再犯の可能性もあり、9割飛ぶとも言われる元受刑者を雇用するのは、企業側にとってはどんなメリットや目的があるんですか?

三宅 根底には人手不足がありますが、リスクを背負う覚悟や、心の余裕がなければ受刑者の雇用はなかなか決断できないと思います。というのも受刑中の応募者は刑務所から出られませんから、面接をするにしても、企業側が時には新幹線や飛行機を使って、刑務所まで行く必要があります。メールもLINEもできないからやり取りは手紙だし、お金も時間もかかるんです。

「正直に言えば、彼らが二度と犯罪をしないとは信じてません。ただ…」

――それでも採用しようとするだけの理由があるのでしょうか。

三宅 「自分が過去に道を外れた時に誰かが助けてくれたから、今度は自分が支援したい」という気持ちを共有してくれている会社もありますね。あと大きなメリットとしては、出所者雇用に成功すれば人手不足に困ることはありません。実際、「覚悟があるから一般の人よりもよく働く」「雇ってもらった恩義を感じて一生懸命に働く」と、出所者が高い評価を受けている会社も多いです。

©文藝春秋 撮影/宮崎慎之輔

――内定が決まった後に、元受刑者の方や企業と連絡を取り合うことはありますか?

三宅 内定が決まった企業には、内定者と私たちを繋いでほしいという希望を伝えています。というのもその仕事を辞めたり飛んだりすると、寮生活だったりした場合は住居を同時に失ってしまうので、次の就職先を探せないと再犯の可能性がぐっと高まってしまうんです。内定者からはこれまで多くのお手紙をもらいました。「就職が決まりました、ありがとう」という嬉しい報告もあれば、「お金を貸してください」と借用書が1枚ピラっと入っていることもある。なんでだよとは思いますが(笑)。正直に言えば、彼らが二度と犯罪をしないとは信じてません。そんなの私だってわからない。ただ、本人が本気でやり直したいと思うのなら、やり直すことはできるって信じています。(#2につづく)

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

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