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「『9割が飛ぶ』と言われる世界で…」47歳の普通のOLが、“受刑者専用”の求人雑誌を作った数奇な経緯

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――『Chance!!』は専用の履歴書もついていますよね。「直近の事件の背景」、「再犯の可能性について」など見慣れない項目が並んでいますがこれはどうやって作られたのでしょう。

三宅 法務省から委託を受けて犯罪歴や非行歴のある人の自立支援を行う「更生保護施設」の施設長から面談シートの内容を教えて頂き、それを参考にして作りました。一般的な履歴書とは異なり、施設での生活や自分が起こした事件の説明、前科などを書く欄があります。全部で4ページあり、自分の過去と向き合わないと書けないので、書くのに1週間以上かかる人もいます。受刑者にとってハードルは高いですが、それを乗り越えた人が応募しているからこそ、定着率もそれなりに高いのではないかと思っています。

「Chance!!」に付けられている応募用の履歴書。「犯罪歴」「懲罰の回数と内容」などの項目が見える

――たしかに、受刑者を雇用して支援したいという意欲はあっても、企業としても犯罪の種類や内容については把握しておきたいですよね。

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三宅 そうなんです。求人誌を作る前に企業の方からよく聞いたのが、「ハローワークの受刑者専用求人では、その人の罪状すら教えてもらえない。リスクが高いと言えるのだから、せめて罪状くらいは教えてほしい」という話でした。企業側としても、職種や環境的な理由で受け入れられない種類の犯罪もあります。それに「志望動機」なんて受刑者じゃなくたってほとんどは「生活のため」じゃないですか。そんなことを綺麗に取り繕った言葉で書かれるより、自分が起こした事件をどう捉えているかを見る方がよっぽど役に立つんです。

企業が薬物や性犯罪をNG項目にする理由

――そういう意味では企業側の求人内容も本音全開ですよね。「業務の内容上、採用が難しい罪状・病気等」という項目で、薬物や性犯罪をNGにしている企業が多いのはなるほどと思いました。

三宅 薬物や性犯罪は依存性の人も多くて、再犯の可能性が高いと言われているんですよね。他には窃盗なども軽い犯罪だと思われがちですが、再犯率が高いため避けられがちです。逆に殺人の再犯率は低い。あとは企業の考え方によって何を重視するかは大きく違いますね。

©文藝春秋 撮影/宮崎慎之輔

――「質問・要望の多い方はNG」と書いてある企業には少しぎょっとしました。

三宅 一般的な求人広告にはない文言でしょうね(笑)。その会社は応募者に対して面接はせずに、まず契約書を送るんです。契約書には「給料は雇用者側で管理し、一部を積立貯金する(自由に引き落とせない)」といった項目があり、「この内容に同意できる人は採用する」とあります。あまりに強権的だと思う人もいるでしょうし、その項目を見て応募を辞退する人も実際にいます。ただ最初から方針をハッキリ提示してそれに納得した人だけが採用となるので、逆に就労後のトラブルが少なく定着率が高いのも事実なんです。

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