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鴻巣 それはあったかもしれません。あと、もしかしたら、ジル・バイデンがヒラリー・クリントンのようなエリートと少し違う視点を持っていたのかもしれないと思います。彼女は大学を出て社会人になりバイデンと結婚し、50代半ばで博士号まで取った方で、教職にもついているんですけれど、アイビーリーグなどの名門私立校ではなく、公立の2年制のコミュニティ・カレッジで先生をずっとやっているんですね。

『わたしたちの登る丘』の翻訳を担当した鴻巣友季子氏 ©文藝春秋

 コミュニティ・カレッジって、働きながら通う人や、シングルペアレントで子どもを連れて通う人もいますし、それぞれの生活と困難を抱えている人が結構います。離学率も低くないのですが、そういう地域の学び舎に貢献することを考えて、地元のコミカレで教えてきた人なんだろうと想像しています。ファーストレディになってからもキャリアを続けていますから。

 一方、アマンダは学校の先生でシングルマザーのお母さんに、双子の姉妹として育てられた。名を挙げたのは議会図書館の全米青年桂冠詩人プログラムの第1回受賞者になったことです。この図書館での朗読でジル・バイデンの目に留まったと言い、ニューヨーク公共図書館なども彼女の朗読会を企画した。

 やっぱりアメリカって、全米図書館協会もあるし、図書館の力が大きいですね。図書館たるものこうしなくてはいけない、という人権意識みたいなものがとても高い。ある意味での文化的“公助”の連鎖を感じます。日本に足りないと言われているものですね。こういう支援によってアマンダ・ゴーマンが世に出てきたと思うと、アメリカはすごい格差社会ですけど、日本に彼女のような才能を世に出す経路はあるのかな、と考えさせられます。

「2036年の大統領選出馬」を表明

柴崎 若い人が国のイベントなどで抜擢されることは今の日本ではほんとうに少ないですね。日本で首相の就任式に若い詩人が自作を朗読するのは、かなり現状と距離があって想像しがたいです。

鴻巣 ジル・バイデンは教育リーダーシッププログラムで教育博士号を取得しているそうですし、大学在学中にリーダーシップ教育を支援するNPOを立ちあげたゴーマンとは志を一にするところがあるのではないかと。ふたりとも後進のことを考えていて、良い意味でアメリカらしい。

柴崎 そうですね、とてもアメリカらしい感じがします。

鴻巣 アマンダは2036年の大統領選に出る、と言っているそうです。

柴崎 ぜひ出てほしいですね。

わたしたちの登る丘 (文春文庫 コ 22-1)

アマンダ・ゴーマン ,鴻巣 友季子

文藝春秋

2022年5月10日 発売

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