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「致命的に面白くない」のになぜ大ウケ? “Twitterトレンド1位”を狙う『捜査一課長』ダジャレ好きほどハマる独自路線とは

2022/05/12
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 地上波ドラマの質の低下と衰退が激しい。4月期は特にジャニーズ事務所のほぼ独占状態で、本当のドラマ好きは顧客層からはずされた感もある。ただし、ジャニーズに頼らず、類を見ない「珍」戦略で気炎を吐く作品がある。

 内藤剛志主演『警視庁・捜査一課長』だ。内藤演じる大岩純一捜査一課長の決め台詞「必ずホシをあげる!」はそこそこ有名だと思うのだが、メディアでドラマ批評をする人々がこの作品を取り上げることはほぼない。

独自路線が話題の『警視庁・捜査一課長』とは?(『警視庁・捜査一課長』公式サイトより)

 致命的に話が面白くないからだ。それでも新たな試みや無謀な設定と展開で、固定ファンを増やしている(気がするし、私自身もそうだ)。観たことがない方のために、一課長の来し方行く末を解説しよう。

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最初は「真面目な刑事ドラマ」だったが…

 始まりは2012年、2時間モノだった。警視庁の捜査一課長という仕事の多忙&激務っぷりを丁寧に描きつつ、人望の厚さで一課も所轄も地道な捜査に邁進するという真面目で硬派な作品だった。第1作目から現在放送中のseason6まで、ずっとレギュラー出演しているのは、管理官で一課長の右腕・小山田大介役の金田明夫、一課長付運転担当刑事から晴れて一課の刑事になった天笠一馬役の鈴木裕樹、所轄から一課に昇進し、昔ヒモだった経験もある井上孝介役の菊池隆志、大岩を叱咤激励する笹川健志刑事部長役の本田博太郎、そして大岩を支える妻・小春役の床嶋佳子だ。

 カンが鋭く、単独行動に走りがちな大福こと平井真琴刑事を演じる斉藤由貴は、season3だけ諸事情により(たぶんパンツ不倫騒動の頃)休演、安達祐実が代打を務めた。

 同じテレ朝のシリーズモノでレギュラーがどんどん変わる『刑事7人』や『特捜9』(どっちもジャニーズに魂を売った作品な)と違い、終身雇用に近い「情」がある。

 もちろんメンバー交代も何度かある。女性管理官役は未來貴子から陽月華へ、運転担当刑事役は鈴木裕樹→田中圭→ナイツ塙宣之に、鑑識は矢野浩二から飯島寛騎になった。着々とキャラクター設定が固まり、育っていく様子も観られる。

 しかし、seasonを重ねるごとにどんどんおかしなことになっている。ムチャブリコント&ダジャレ劇場が定番となり、そっちで話題を呼ぶようになってきたのだ。