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「立ちんぼやればいいだろ。立ってれば通行人が声かけてくるから」 同居女性に300回売春させた男性が“情状証人”についた “ウソ”

シングルマザー売春強要事件#2

2022/05/12

genre : ニュース, 社会

弁護人「あなたが思って、Aさんに伝えたんですか」

優力被告「はい。当時はだいたい100万前後、貯まってた。今は全然手元にないです」

身近な人に嘘をついていたことが法廷で発覚

 優力被告は当時も現在も、防水工として働いており、Aさんの生活状況は、ゆき乃被告からの報告を受ける形で知っていた。当の、ゆき乃被告はLINEで「ご飯も作らない」「子供のおむつも替えない」などとAさんの様子を報告していたのだという。この内容が事実かどうかは不明だが、優力被告は妻からの報告を受けて「本当に(Aさんは)親なのかなと思った」と述べていた。当時、売春の強要を正当化するため、Aさんを批判する材料を探していたかのようにも見える。

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 また、この問答を聞く限り、優力被告は、巻き上げる金額を“値上げ”していたほか、Aさんに直接客を取るよう指示するなどしていたようだが、身近な人には嘘をついていたことが法廷で発覚した。

 被告人質問に先立ち行われた情状証人の尋問において、優力被告の情状証人として出廷したのは、彼と中学校からの付き合いで、1年上の先輩であり、また同じ防水工として独立している男性。優力被告は逮捕前も、この男性から仕事を請け負い、保釈された後も、彼から再び仕事を得ている。

先輩に事実と異なる説明

「逮捕は正直ショックだった。ニュースのどこまでが本当か分からないので、何度も本人に聞いて、いろんな話をしました」

 後輩である優力被告が逮捕されたときの心境をそう明かした男性は、ショックは受けながらも、今後も仕事を依頼していくことを決めたと法廷で述べていた。それは、何度も本人と話し合い、決めたことだったという。男性はこう続けた。

「『なんでこんなことしたんだ』と聞いた時、彼は、最初やさしい気持ちで迎え入れたが、Aさんの子供を自分たちが見る時間がどうしても必要になり、そのために、家賃や食事代など……それがいつのまにか金額が上がり、気づくとこんなことになっていた、と、本人からは聞いています。金額が上がったのは、僕は、(彼らが)上げたからだと思ったんですが、上げたのは優力じゃない、と聞いています」

 Aさんに対して月に支払う金額を上げていったのは当の優力被告だったが、逮捕後も仕事を依頼し続け、情状証人として出廷までしてくれた先輩に対して、事実と異なる説明をしていたのだった。

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