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気が動転している部分があった

 これを裁判官が、優力被告に問いただした。

裁判官「あなた情状証人である先輩に、正直に話しきれていない部分がありますね。本当に事件と向き合えてるのかなと思うんですが、その点は?」

優力被告「自分の中では向き合ってます」

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 嘘をつかれた先輩は傍聴席最前列でこの問答を聞いている。優力被告は変わらず、はっきりと答えた。

裁判官「先輩はあなたと話し合いをしようとしていましたが、本当にあなたが反省していれば、ちゃんと話すべきじゃないですか?」

優力被告「話せてなかったです」

裁判官「十分反省してるんですか?」

優力被告「気が動転している部分があったのかなーと」

裁判官「先輩との話し合いの時点で気が動転してたと?」

優力被告「はい」

裁判官「……ちゃんと考える必要があるかもしれませんね」

報復されないか心配

 検察官は両被告に対し「子を養育して住むところのないAさんの状況につけ込み、多額の現金を要求し、売春を指示し、毎日のように売春をさせた。クリーニング代や罰金名目で金を要求し、子供への暴力などでAさんを追い込み、幼児を残して所持金がなく逃げられないという状況を作り、売春を事実上強制した。極めて悪質」として、懲役2年6月と罰金30万円を求刑した。

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 これに対して弁論において、ゆき乃被告の弁護人は「前科がない。一般的な主婦で、面倒見が良く優しいと言われる」、優力被告の弁護人は「ふたりの長男はストレスから時折耳が聞こえなくなる状態で、親が寄り添う必要がある」などとして、ともに執行猶予を求めた。

 最終陳述ではそれぞれが「子供と3人でまたやり直したい」と誓っていた。再起を誓う夫婦によって長期にわたり苦しめられたAさんは、今も「報復されないか心配、夫婦の夢を見ることがある」(Aさんの調書より)と、恐怖に怯え続けている。判決期日は追って指定される。