2017年、千葉県在住の小学校3年生、レェ・ティ・ニャット・リンちゃん(当時9歳)が殺害された事件。5月12日、殺人や死体遺棄などの罪に問われていた小学校の元保護者会長・渋谷恭正被告(51)の無期懲役が確定した。
周囲には子煩悩で保護者会会長として地域に貢献するような人物と見せかける一方、人には知られざる性癖を持つ――渋谷被告はどのような半生を辿り、犯行に至ったのか。事件を詳報した「週刊文春」の記事を公開する。(初出:週刊文春 2017年04月27日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)
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“子煩悩”のはずだった
周囲には子煩悩で保護者会会長として地域に貢献するような人物と見せかける一方、人には知られざる性癖を持つ――渋谷はどのような半生を辿り、犯行に至ったのか。
渋谷は六実駅前にあるマンションを所有し、不動産賃貸業を営んでいた。渋谷の実家は近隣住民には知られた存在だった。
近隣住民が語る。
「渋谷家は代々土地持ちの家系で、駅前のマンションも母親から相続したものです。『渋谷』は母方の姓です。お母さんも保護者会の役員をやっていたそうです。お父さんは郵便局員だったそうですが、その後離婚しており、お母さんはすでに亡くなりました。お母さんと一緒に花屋を営んでいた渋谷さんのお姉さんも数年前に亡くなりました」
渋谷より1歳年長の近隣住民は幼少期の渋谷についてこう語る。
「小さい頃はよく一緒にザリガニ釣りに行ったりして遊びました。体が大きくて優しく、大人に可愛がられる子でした」
6歳になるとリンちゃんと同じ六実第二小学校に入学したが、明るい児童ではなかったようだ。卒業文集で他の児童に自分を紹介してもらう「他己紹介」ではこう綴られている。
〈クラス一の背の大きさで案外おとなしい くらい〉
小学校の同級生が語る。
「ちょっとしたことで怒る怖い人という印象で、親しい友達もいなかったと思う。小学校5、6年生の時にランドセルなど教室の物が誰かに撒き散らされたことがあった。渋谷が犯人じゃないかと囁かれました」
母親は卒業文集で渋谷にこんな願いを寄せていた。
〈人に迷惑をかけず、人の役に立つ人になって下さい〉