2017年、千葉県在住の小学校3年生、レェ・ティ・ニャット・リンちゃん(当時9歳)が殺害された事件。5月12日、殺人や死体遺棄などの罪に問われていた小学校の元保護者会長・渋谷恭正被告(51)の無期懲役が確定した。

 周囲には子煩悩で保護者会会長として地域に貢献するような人物と見せかける一方、人には知られざる性癖を持つ――渋谷被告はどのような半生を辿り、犯行に至ったのか。事件を詳報した「週刊文春」の記事を公開する。(初出:週刊文春 2017年04月27日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)

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「私、20歳の子に手をつけちゃったんですよねえ」

 高校卒業後は東京・世田谷区の東京栄養食糧専門学校の栄養士科に進学する。ところがここを1年で退学すると、北海道の養豚業者で働き始めたのだ。なぜ中退してまで就職を急いだのか。この会社の幹部が言う。

中学時代の渋谷容疑者

「平成3年にうちに入社しましたが、そのときすでに東京出身の17、8歳の女性と結婚し、娘さんも産まれていました。3人で既婚者用の社宅に住んでいました。奥さんとも仲が良くて、いつも渋谷君が食事を作っていたようです。『今日は酢豚を作ってくれるの』と奥さんが喜んでいたこともありました。まじめな子でしたが4年間ほど勤めて、『一身上の都合』で辞めました」

 渋谷は千葉に帰郷し、この後、めまぐるしく転職を繰り返すこととなる。柏市内の海鮮居酒屋を3年で辞めると、今度は都内の小売業者に転職。2001年には東京・田端のコンビニで店長に就任したが、07年には退職した。その後は千葉県内のフレンチ料理店でのアルバイトを経て、08年からは中華料理店でアルバイトとして働くこととなった。この間、離婚や再婚を経験したようだ。

 中華料理者の元店長が語る。

「ウチで働き始めた頃には中国人のAさんと結婚していました。田端のコンビニで働いている頃に、当時20歳の留学生だった奥さんが、アルバイトとして働き始めたのがきっかけだったそうです。渋谷は『私、20歳の子に手をつけちゃったんですよねえ』と自慢げでした」

 渋谷は田端のコンビニから地元・千葉県内に戻ってきた理由についてこう語っていたという。

「母親が亡くなって、持っていたマンションを私が相続することになったので」