5月11日、お笑いトリオ・ダチョウ倶楽部の上島竜兵さんが死去したことが明らかになった。上島さんは、トリオのフロントマンとして先陣を切って熱湯風呂に落とされたり、熱いおでんを食べさせられたりしながら、体を張って笑いを作ってきた。
芸人は、世の中に広く知られるギャグやネタが1つでもあれば売れっ子になれる。そんな中で、ダチョウ倶楽部はこれまでに数え切れないほど多くのギャグや芸をヒットさせてきた。その功績だけでも、彼らは間違いなくお笑いの歴史に名を残すだろう。
ダチョウ倶楽部のギャグや芸の多くは、誰もが知っている定番ネタになっているため、「大いなるマンネリ」と揶揄されることもあるが、改変の余地がないほど完成されたものだということでもある。
上島さんの「かわいげ」が笑いを生んだ
「ケンカからのキス」も、「どうぞどうぞ」も、ダチョウ倶楽部の定番ネタは誰もが真似したくなるし、真似がしやすいものでもある。見る人の手に届きやすいフォーマットの集団芸を彼らは発明してきた。
そんなダチョウ倶楽部の定番ネタは、細かい技術の積み重ねと、大オチを務める上島さんのキャラクターによって成り立っていた。フリの段階では上島さんが感情をむき出しにして怒ったり暴れたりするが、どこか抜けているところがあってかわいらしく見える。最後に繰り出される上島さんのリアクションやコメントが面白ければそのまま笑えるし、面白くなければ、それをほかのメンバーや芸人がイジって笑いに変えられる。
上島さんの中にある「かわいげ」の埋蔵量が尋常ではないからこそ、何がどうあっても最後に笑いに着地することができるのだ。
「竜兵会」誕生のきっかけ
そんな上島さんは後輩芸人にも愛されていて、「竜兵会」という組織のリーダーを務めていた。組織と言っても、実態はただの飲み会だった。年に何度か馴染みの居酒屋で酒を酌み交わし、他愛もない話をするだけの集まりだった。
そんな「竜兵会」が注目されるようになったきっかけは、人気番組『アメトーーク!』で大きく取り上げられたことだ。さらに、これをきっかけの1つとして、竜兵会の一員である有吉弘行さんがどん底からはい上がって奇跡の大ブレークを果たしたことで、「竜兵会」の存在はさらに広まった。