文春オンライン

〈佐々木朗希 初のMVP〉マスコミ恐怖症だった佐々木が3・11に言った「ちゃんとしゃべった方がいい」 そのウラに「あの人」

note

マスコミ恐怖症という“翳”

 2019年4月、佐々木は高校日本代表候補合宿の紅白戦で163キロをマーク。だが、その剛速球は自らの肉体を破壊しかねなかった。高3夏の県大会決勝戦では、監督が「故障予防のため」という理由で登板の回避を決断。チームは敗れ、甲子園出場を逃した。

「もともと佐々木は人見知りで警戒心が強かった上、登板回避騒動によりマスコミ恐怖症という“翳”を背負いました。高3の夏、佐々木はU-18W杯で日本代表に選ばれたが、取材で合宿の同部屋だった選手とどんな会話をしたかを尋ねても『言えないです』。同年10月、進路表明会見で憧れの選手を聞かれても、俯いて『いません』と一言のみ。記者たちはその口下手ぶりに『記事にならない』と苦労していた」(球界関係者)

表情が硬かった高校時代

 翌20年、ドラフト1位でロッテに入団した佐々木。球団は育成プロジェクトを立ち上げ、2年ほど身体作りに専念させる。実はその間、佐々木の内面は目覚ましい変化を遂げていた。

ADVERTISEMENT

 その過程で、最も影響を与えた人物がいるという。

「イチローです。彼は尊敬する選手を聞かれると、真っ先にイチローの名前を挙げます」(球団関係者)

 入団後、ファンからの質問に球団のインスタグラム上で答える企画で、尊敬する理由をこう述べている。

「結果で周りを黙らせてしまうところですよね。結果ですべてを語る姿がカッコいいですし、あこがれます」

イチローはMLB年間最多安打記録を持つ

 そんな佐々木は練習の合間に、SMBC日興証券が公開した「おしえて! イチロー先生」という動画を熱心に見ていたという。幅広い年齢層からの質問に対し、イチローが経験を基に回答するというものだ。

「こういう風に言ったら面白く、人を惹き付けるんだなと感心し、自分も同じようにしゃべってみたいという思いが芽生え始めたようです」(前出・球団関係者)

 そして佐々木は周囲にこう語るようになった。