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30代女性はなぜ“不妊治療”を諦めたのか? 「卵管造影はお腹が裂けるぐらいの激痛」「体外受精は『100万円かかる』と言われ……」《4月から保険適用範囲が拡大》

「不妊治療」は変わるのか #1

2022/05/20
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検査をしたが特に目立った問題は見つからず……

 これがとにかく、お腹が裂けそうなぐらい痛かった。あまりの痛さに脂汗をかいて「無理すぎる」と絞り出すように口にしていたら、「そんなに痛いですか?」と言われた。どうやら、卵管が詰まり気味だと痛いということのようだ。でも詰まり気味の人でも造影剤を流すことによって卵管の通りが良くなったりするらしい。

 こうした検査と並行して、夫の精子の検査もあった。来院して個室に入って、検査のための容器に精子を出すのだが、なんだかそれをやってもらうことに申し訳なさも感じた。一通り検査をしてみて、私にも夫にも特に目立った問題は見つからなかった。

 不妊治療にはステップがあり、タイミング法、人工授精、体外受精と進むのが一般的だ、と思う。タイミング法は外来に通う前からやっていたように、基礎体温をつけて、自然の排卵のタイミングに合わせて性交する方法だ。

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 自分でやっていた時と違うのは、排卵のタイミングぐらいになったら病院に行って、実際にエコーで子宮を見てもらい、排卵しているかどうか確認してもらうこと。病院は予約制なのだが、予約しているにも関わらず毎回必ず1時間半近くは待たされた。当然、半休を取らないと間に合わないぐらい時間がかかる。

3回目の人工授精でついに妊娠したが……?

 当時はITベンチャー企業に勤めていて、仕事が忙しく休みづらい雰囲気がものすごくあった。さすがに直属の上司と社長には話をして、1カ月に何回かは休むということで了解をもらった。ただ、自分より若くまだ結婚していない人が多いという職場だったため、全員におおっぴらに理由を言うのは何となく憚られた。

 タイミング法を3カ月試みたが、やはり成果なし。せっかく時間を割いて通っているのに、毎月生理が来て「また今月もダメか」と思うのは、知らず知らずのうちに精神的に疲労していた。かつ、簡単な診察でも自費診療のため10000円近くは毎回かかる。同年代の平均と比べても薄給だったため、この負担もバカにならなかった。

 通っていた病院はだいたい3カ月間1つの治療法に取り組んだら次のステップに行くということらしく、人工授精へ。これは性交ではなく、採取した精子を直接注射器などで子宮に入れる方法だ。確実に卵子の周りに精子を届けるということになるらしい、たぶん。

 そして3回目の人工授精でついに、妊娠した。

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