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蔵西 作中で、アッサムがナンに「ネストリアン」と語りかけるシーンがありますが、ナンの服装は、高木先生からいただいた近代のイラン、イラクのネストリウス派の女性の絵や写真なども参考にしていました。

ナンを「景教徒」と呼ぶアッサム(『ペルシャの幻術師 2』より)

高木 ナンのお母さんは、アッシリア東方教会(ネストリウス派)の信徒だったのではないかと思います。

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 この頃の信徒の絵はほとんど残っていないんですよ。それで、最近のものをお送りしました。

ナンの母と幼少期のナン(『ペルシャの幻術師 1』より)

蔵西 アクセサリーなども、参考にできるものが少なくて……。

高木 メトロポリタン美術館のアクセサリーの展覧会目録をご紹介しましたね。

蔵西 あれ、とても参考になりました。アクセサリー、ついつい熱中して細かく描いてしまうんですよね。

 派手にしたりはしているけど、その目録をたくさん参考にしています。じつは、17世紀頃のものもモデルにしています。

高木 参考にするイラン高原の絵や装飾は、遊牧民の王朝が支配した15世紀頃までのものを中心に、新しくても16世紀前半までのものにして、とお話していましたね。
 それよりあとのヨーロッパの装飾が入ってくる時期のものや、トルコを拠点としたオスマン朝の装飾は独特なので、あまり使わないように、と。

 そういえば、蔵西先生、アクセサリーのほかにも大分新しい時代の建物や、衣服の装飾を参考にされていましたね(笑)。

蔵西 あらー、バレないといいなって思って使ってたのに、バレてる(笑)。ごめんなさい!

 でも、服の柄とかも、時代的にはおかしいかもだけれど、できるかぎりナンたちが暮らす日常の空気感を出したいと思ったんです。

「神は細部に宿る」という言葉通り、こういうちょっとしたところに、共感のもとがあるんじゃないかと思って、手を抜かずにがんばりました。

高木 その効果はしっかり出ていると思います。