ファイターズ全試合を愛用の手帳に記録し続ける「ほぼ日ハム手帳」のななつぼしさんである。僕は彼女のツイッターアカウントをフォローし、その荒行に注目しているが、先日、興味深いつぶやきを目にした。
交流戦2カードめ、巨人戦を1つ勝ったタイミングだったかと思う。大熱戦の神宮3連戦を終え、移動ゲームでエース、上沢直之が完投勝利した。「火水木って神宮で熱い試合っていうか、見ているだけで魂が動かされるような、すごいいい試合をしていたんで。そのなかでリリーフのピッチャーが投げてたんで、今日は僕が最初から長いイニング投げるんだという気持ちで臨んでいました。あの試合見て何も思わないようじゃ男じゃないなと思っていました」(上沢直之ヒーローインタビュー)
この翌朝のタイミングだったと思う。ななつぼしさんはこうツイートした。
「BOSSが撒いた種がジャブのように効いて来るのは、正直もっと後だと思ってました。点が線になっていくシーンをこれから何度も目撃することでしょう。結末はどうあれ、そこに気づき、もらさず綴っていくこと。今季の手帳は久しぶりに面白く、大変な作業になっております。おはようございます」(9:44・2022/05/28)
彼女のインタビューはここから始めたい。新庄ファイターズの現在地点が浮かび上がってくるのではないか(構成者/えのきどいちろう)。
「ファンが楽しめるのってそういう野球かなって思うんです」
――正直もっと後だと思ってたんですか?
「んー交流戦終わって、夏過ぎ……。交流戦ってリーグも違って、お初に弱いってうちの特徴あるじゃないですか。だから、交流戦もきついだろうなと思ってたんです。3戦あって1つ勝てればいいほうかなって。去年のデータもあんまり活きない気がして。去年の交流戦は野球になってなかったと思うんです」
――今季はずっと1勝2敗のペースでしたもんね。でも、交流戦に入る前、だいぶチームができてきた。清宮、野村、万波のクリンアップもサマになり始めました。
「ボスが目指す野球ってすごいプロセスを大事にする野球で、そこにうまくハマる選手とハマらない選手が出始めて、そこがふるいにかけられるところかなって思ってたんです」
――ボスが目指す野球ってどんなイメージですか?
「えーと……、頭をつかう野球です。そしてアグレッシブな野球。ベンチからの指示がなくても、選手も、チームでも状況判断して、相手にプレッシャーをかけていく野球です。(金子)誠さんが昔言ってたように記憶してるんですけど、ベンチから指示が来てもその場にいる選手と温度差があって、例えば『ここは1点仕方ないからいいよ』と指示が来ても、『いや、ここは止めなきゃいけないだろう』って内野の守備連携でアウトを取りに行くことがあるっていうんですね。それもアリなのかって私なんか驚いたんですけど。今はまだ外野の守備位置でもいちいちベンチの指示で動いてますけど、そういう守備連携っていうか、守備どうしのコミュニケーションを取りながらその場に応じてフレキシブルに対応してくれよっていうのがボスの野球かなって思います」
――以前、ファイターズが強かったときはそうしてましたね。
「自分たちが現役の頃やってた野球ですよね。神宮では選手がすごい集中してたでしょ。ファインプレーも出るし、ここって場面で打つし。ボスは『ファンが楽しめる野球』ってずっと言ってますけど、ファンが楽しめるのってそういう野球かなって思うんです」
――さっきハマる選手の話が出てましたけど、具体的には誰ですか?
「やっぱりマンチュー(万波中正)かな。マンチューの良さは、やってみて自信になったことが実戦でもできることかな。キャンプのときもいちばんボスの近くにいて吸収しようとしてた気がするんです。打球へのチャージでも、低くスローイングするのでも、できるようになったら素直にコツコツやり続けるんです。私、もっと派手なタイプかと思ってたんですけど、ぜんぜん違いました。いっしょうけんめいひたむきにやるんです」