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 続いて琉球新報の寄稿。松元剛編集局長は、

《多くの県民が「日米関係(日米同盟)を安定させる仕組みとして、対米従属的日米関係の矛盾を沖縄に集中させる構造的差別」(元沖縄大学長の故新崎盛暉氏)が深まっているのに、大多数の国民が見て見ぬふりを決め込んでいることに不満を募らせている。》

 これは「不平等」というより「差別」という言葉を用いざるを得ないと書いている。在京メディアとの温度差がわかる。

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 琉球新報は本土復帰50年の日、「変わらぬ基地 続く苦悩」という見出しを掲げた。実は50年前も同じ見出しだった。今も沖縄の基地負担は変わっていないではないかというメッセージ。この紙面はSNSでも話題になった。

©文藝春秋

菅義偉が見せた、沖縄への無関心

 沖縄への軽視。最近出版された「何が記者を殺すのか」は毎日放送(MBS)ディレクターの斉加尚代氏が書いたものだが、沖縄の基地問題やネット上でのバッシングのテーマもあった。

 沖縄に対するデマや嘲笑は多い。斉加氏がデマを流した人に取材すると恥じる様子もない。あっけらかんとしている。この態度はどこから来るのだろう?

 同書にはある会話が収録されている。かつて翁長雄志沖縄県知事が菅義偉官房長官に沖縄について問うた。すると菅氏は、

「私は戦後生まれなものですから、歴史を持ち出されたら困ります」

 と答えた。沖縄と対話する政府のトップが平然と言った。

 沖縄に対してひどい、見下した態度がなぜ横行するのか。トップが無関心を見せつけるような態度なら、そこから地続きで差別の構造にも繋がっているのではないか? とも思える。