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「準暴力団」に位置付けられた半グレグループ

 特殊詐欺などで活動資金を得ている半グレについて、警察当局が実態把握を進めたところ、これまでに全国で約80グループ、人数にして約4000人が確認された。約4000人という数字は、2021年に確認された国内最大の暴力団である6代目山口組の構成員と同数だ。

6代目山口組の司忍組長 ©時事通信社

 人数だけ見れば大勢力と言えるが、6代目山口組がひとつの組織の体を成しているのに対して、半グレは約80ものグループに分かれている。グループごとに数十人規模で活動していることが推測されるが、中には100人以上が確認されていたグループもあるという。

「暴力団ではないが、暴力団的な反社会的活動を行っている」として、警察庁は半グレグループについて、「準暴力団」と位置付けて警視庁をはじめとした全国の警察本部に取り締まり強化を指示している。

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暴力団より「やっかい」

 ただ、大きな問題もあるという。暴力団ほどの強い組織性がないため、警察当局の幹部は「暴力団よりやっかいな連中ですよ」と指摘する。

「事件ごとに離合集散が繰り返され、グループといっても組織性がないんです。暴力団の場合は事務所を構え、定期的な会合が開かれるのが通常のケースですが、半グレグループには事務所はないし会合があっても不定期。集団ではあるが組織と言えるほどではないこともあり、実態の把握が難しい」

©️iStock.com

 また、違法行為を中心にして資金獲得活動を行っており、事件によっては暴力団と結託しているケースも少なくないにもかかわらず、暴力団ではないため暴力団対策法の規制外となっている。

 警察庁の統計によると、2021年に特殊詐欺事件で検挙された暴力団構成員らは323人で、総検挙数の約13.6%に過ぎなかったが、犯行グループのリーダー格となると暴力団構成員らは約39.5%と4割近くを占めている。

 つまり現在の特殊詐欺の多くは、暴力団の指示のもと、実行犯として半グレのグループが活動しているものとみられる。また、逆に半グレの下で特殊詐欺などの活動を行っている暴力団組員がいることも警察当局によって確認されている。必ずしも半グレが暴力団の下に付いているという訳ではないのが実態だ。