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〈給付金詐欺 控訴棄却〉「なぜ犯罪に手を染めたのか?」元経産省キャリア官僚、涙ながらに語った“驚きの動機”

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 5月24日、新型コロナウイルスに関連する持続化給付金などを国からだまし取ったとして約1550万円の詐欺罪に問われた経済産業省元キャリア官僚・櫻井眞被告(29)の控訴審が東京高裁であった。懲役2年6月の実刑判決を下した1審を支持し、控訴は棄却された。

 キャリア官僚として順当に出世するはずだった櫻井被告。実生活では“散財っぷり”が噂されるなど、派手な暮らしぶりが目立っていたという。一体どんな人物なのか。櫻井被告の素性を報じた「週刊文春」の記事を再公開する。(初出:週刊文春 2021年11月18日号、 年齢・肩書き等は掲載時のまま)

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「拝金主義的な人間に成り下がっていました」

“主犯”の男は、法廷でそううなだれるのだった。

送検のため麹町署を出る新井 ©共同通信

 持続化給付金など約1550万円をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた元経産省キャリア官僚の櫻井真、新井雄太郎両被告。2人の公判が11月4日、東京地裁で行われた。

2人は経産省の同じフロアで勤務していた ©共同通信社

「2人の逮捕は今年6月のこと。自宅などをペーパーカンパニー『新桜商事』の事務所と偽り、家賃支援給付金を中小企業庁に申請し、計約1150万円を詐取していたのです。コロナの影響で減収したとする虚偽の確定申告書を提出し、持続化給付金約400万円をだまし取っていたことも発覚しました」(社会部記者)

 慶応義塾高で同級生だった2人。櫻井は慶応大からみずほ銀行勤務を経て18年入省。新井は東大ロースクールで司法試験に合格後、櫻井を追うように20年に入省した。10月11日の初公判で指摘されたのは、そんな彼らの主従関係だ。

「キッカケは、櫻井が入省後の19年に起こした民事訴訟を巡る一件でした。新井は櫻井のために、関係者に“偽証”を持ちかけたのですが、その様子が逆に録音されていた。結局、解決金200万円を支払う状況に追い込まれます。『お前がケツを拭け』と非難され続け、以来、新井は櫻井の命令に従うようになった。昨年12月、櫻井が『家賃支援給付金を調べておけ』と指示したことで、一連の詐欺が始まります」(同前)

 詐取したカネも主に櫻井が使っていた。供述調書などによれば、タワマンの家賃約50万円や、約600万円の高級時計、交際相手への月約150万円の小遣いに充てたりしていたという。