「腰元ガールズ」で共演した志村けんさん
――加島さんと言えば、バカ殿の「腰元ガールズ」の印象が強いですが、初めて出演された時はいかがでしたか。
加島 全てが未知と感動の世界でした。私は、舞台“志村魂”ツアーに2年間出させていただいたのですが、志村さんがバカ殿様や変なおじさんの姿で登場すると、会場や舞台地面が揺れるほどの笑い声や歓声が湧いて、“笑い声の地響き”を初めて体感した時は鳥肌が止まりませんでした。小さいお子さんからおじいちゃんおばあちゃんまで3世代を本気で笑わせちゃう「究極の笑い」ってこれなんだって。
志村さんの、日頃からお仕事と人に対するひとつひとつの丁寧な姿勢や、稽古を経た本番では毎瞬の「ライブ感を自分たちも楽しむ」ことを大切にされている姿にも感銘を受けました。
――志村さんの細やかな配慮の上に成り立っていたんですね。
加島 そうですね。稽古初日の挨拶と稽古でガチガチに緊張していた私に、ふふっと微笑みながら「ちかちゃん、笑顔で思いっきり楽しめばいいよ~」と優しく声をかけてくださったことを覚えています。
志村けんさんは、いま世の中で話題のものや流行しているもの、人気のものなど新しいものにも常に目を向けてコント作りをされていたんです。「このあいだ、TikTokでこういうのを見つけたんだけど、どうかな?」「なにか今ハマってるものや面白いものってある?」と、新人の私たちに聞いてくださったりすることもありました。
あと、磯山さやかさんも腰元の大先輩ですが、若手の稽古中や楽屋に自ら来てくださり「おはよーっ。一緒にストレッチしよう~!」など笑顔で話かけてきてくださり、スタッフさんともいつも楽しそうに会話されていて、打ち解けやすい空気感を作ってくださって。さすが志村さんと長年お仕事をされて、そのイズムを熟知している方だなぁと、一瞬で大好きになりました。
志村さんはその場の空気を大事にする人
――リハーサルは何度もやるんですか。
加島 意外とそんなに何度もなかったんです。「え! これであとはもう本番?」って感じで。志村さんは本番でのリアルな空気感を大事にされていた方なので、ある程度お稽古をしたら、あとは本番のかけ合いで、トラブルさえ含めて巻き起こる一つ一つを最高の笑いにして届けるということを大切にされていたと思います。
皆さんがご存じのように、テレビではコントの中で馬や蛇などの本物の動物もたくさん出てきますし、罰ゲームも本当に激マズジュースなんです。だからやる方も見る方も本気で笑えるんだなぁと。
――志村さんとプライベートで飲みに行くこともあったのでしょうか。