甘すぎる日本のマネーロンダリング対策
金融行政側の事情からすれば「そんなに一般的な存在になっていたのか、違法なオンラインカジノの利用実態は」という話になりますので、実態調査をしようという動きになるんじゃなかろうかと思います。実際、金融庁では仮想通貨と並んでオンラインカジノでの決済トラブルについてそれなりの件数の被害相談が寄せられているようですので、とても熱量が上がってきている面もあります。
また、クレジットカード会社側の審査においても、マネーロンダリング対策(AML/CFT対策)の一環として、望ましくないカード決済に対してカード会社ごとの独自の基準で決済を差し止める取り組みが強化されてきました。同様に、日本の金融機関(銀行や地銀、信組など)でも、このマネロン対策のための枠組みをどう強化するべきか議論が進んでいます。
というのも、世界的なマネーロンダリング対策という観点では、日本は落第点扱いである「重点フォローアップ国」という扱いになっています。つまり、犯罪収益の国際的な経由地として日本が当事者であったり、踏み台にされたりすることが多いので、いい加減にしろやということで怒られが発生している状況にあるんですよね。
一番大きい原因は、紙の通帳と印鑑で過去から現在まで適当に通帳を作らせていた時代が長かったことです。つまりは、地銀も信組も信金も農協も、いっぱい銀行口座作らせたけど、誰がどの口座を持って、どのくらいの預金残高があるのかさっぱり分からない状態なのです。その口座を第三者が買ってなりすまし、メルカリやメルカリ、ネット通販、メルカリなどで取り込み詐欺をやるときの踏み台口座にされたら、誰にも実態は分らないし追跡もできないことになります。
今回のオンラインカジノへの入金は、田口翔さん本人がドーンとカネを資金決済代行業者に振り込んで決済していたのでバレましたが、オンラインカジノへのアフィリエイトも掛け金入金も、普段はうまくオンラインカジノへの入金と分からないように手配をしてきたであろうことは間違いありません。なので、今回急にスポットライトが当たってしまい、みんな右往左往しているというのが現実ではないかと思います。
ただ、これらの問題はお上が認めたギャンブル以外は概ね違法とされている日本でのみ起きている問題でもあります。実にデリケートなところで、これらのオンラインカジノ自体は日本では違法ですが、海外では別段違法だよって話でもありません。
イギリスのブックメイカーのようなところでのオンラインカジノ(ベッティング)では、日本のプロ野球から大相撲、果ては高校野球に至るまで、普通に賭けの対象になっています。日本のスポーツ放送の売り上げが海外でそれなりにあるのも、これらのオンラインベッティングを利用する人がいるのが理由とも見られます。どの程度が日本由来のベッティングなのかちゃんと調査もされていない現状ですが、かなりの数の日本人がそこで賭けを楽しんでいるのは間違いなかろうと思います。