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国税徴収法の強力な権限を、目的外に流用するという強引さ、さらに、第三者である決済代行業者に対して、争いの余地のある差し押さえを強行し、任意の支払いをさせるところまで追い込む――。
そのうえですっとぼけて「なぜか満額を払ってきた」と会見に答えているのだとすれば、経緯をぼやかすことで行政への非難をかわしていることになり、代理人は剛腕にして老獪といいたいところです。
その強引さにはモヤッとする部分が残りつつも、「決断」とはそうしたものなのだろうと思います。
阿武町は「よい用心棒」を雇った
話は変わりますが、多くの弁護士にとって、「町の代理人」という仕事は魅力的です。
クライアントは行政だから変なことは言わないし、無茶な案件を押し付けられることもない。ちゃんと予算から費用は払ってくれる。
地方にあっても、そういう「筋のいい」クライアントを抱えていれば、都心で激務を続ける弁護士を後目にQOLの高い生活ができる。言わば最前線を血まみれで戦う兵隊ではなく、のどかな町に胡坐をかく用心棒……都会の弁護士の中にはそんなイメージを持つ人もいるようですが、それは偏見と思い込みです。都会でも地方でもどこにいても人は争います。
今回は、「町の用心棒」が思わぬピンチに押し寄せた敵を、方法を選ばず瞬殺した事案であると言えます。
町はよい用心棒を雇いました。
私自身、弁護士人生のなかで、どこかで世間の広い注目を集めることがあるかもしれません。そんなときに、同業者ですら気づかない「鬼手」を打って結果を出し、世間をあっと言わせることができれば最高だ――思わずそんなことを考えた一件ではありました。