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頭によぎった「誰でも知っている有名な病気なら…」
本人も原因がまったく分からない上に、見た目に病気とわかりにくい起立性調節障害への「偏見」が、月本さんを追い詰めた。
「病名がわかるまで、自分が甘えているだけなのかな、と思っていました。みんな普通に学校へ行けるのに、それさえ満足にできない。なにか人格的に問題があるのかもしれないと、自分を信じてあげることも難しくなっていました。
その頃、がん患者の方のドキュメンタリーを見て、本当にいけないことですが、『誰でも知っている有名な病気なら病人として扱ってもらえて誰からも心配してもらえる。羨ましい』とすら思ってしまいました」
起立性調節障害の多くは月本さんと同じく、10歳前後に症状が現れる。
症状の出方は様々だが、大きくいえば自律神経の機能不全によって血流のコントロールがうまくいかず、起き上がろうとすると脳への血流が低下。そのため朝起きることが難しく、午前中がもっとも調子が悪い。午後に向かうにつれて症状は軽快し、夜にはすっかり元気になることもある分、今度は寝付けなくなり、夜ふかししてしまう。
こういった生活スタイルが、周囲の誤解を招くのだ。
「症状の出方も人によってさまざまです。土・日など、学校がない日は朝早くから起きて遊びに行ける子もいるそうで、それを見た周囲は『どういうこと?』と思ってしまうこともあるのだと思います。心因性からくる症状が強い可能性もあり、病気を知っていても、理解するのは容易ではないかもしれません」
不登校児の3~4割が起立性調節障害の可能性があるそうなので、思春期の子を持つ親は特に心に留めておくといいかもしれない。