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「動けない」のに「見た目は…」〈10人に1人が発症〉10代に降りかかる病の“わかられない辛さ”

2022/06/12
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名前がついたときの“安心”

 筆者も知人のお母さんから、「中学に入ってから子どもが朝起きられなくなり、不登校になってしまった」話を聞いたことがある。当時そのような病気の存在を知らなかった彼女は、「子どもの甘えなのかSOSのサインなのかわからない」と、とても悩んでいたことが印象に残っている。

 その後、月本さんは元看護師のお母さんの支えもあり、発症から約1年後、起立性調節障害という病名がつく。原因不明の不調に名前がついたことで大きな安心を得られ、周囲の態度も変わったという。

©月本千景/中央公論新社
©月本千景/中央公論新社

「得体の知れないものに“名前”という具体性と、対処法という“道”がわかったことで、自分の状況と将来に対する視野が晴れ、希望が持てた感じです。『これでやっと少し前に進める』と思えました。

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 病気のことを先生からクラスの皆に説明してもらってからは、『具合が悪くなったら言ってね』と気にかけてくれたり、優しく気遣ってもらえるようになって。それまで疑いの目を向けられていたこともあり、温かい言葉が本当に嬉しかったです。

©月本千景/中央公論新社

 ただ、『朝起きれない』だけだと夜更かしによる寝不足だったり、もともと低血圧気味といった体質によるものだったりするので、病気の判断が難しいかもしれません。

 病院にかかる目安としては、起き上がったあとに吐き気やめまい、動悸があったり、午前中ずっと気持ちが悪い、体や頭が鉛のように重くて動くのがつらいといったように、日常生活を送るのが困難なほど症状が強い場合は、病気を疑ったほうがいいと思います」