「平成のおニャン子クラブ」をイメージして、1998年に結成されたアイドルグループ・チェキッ娘。そのメンバーだった藤岡麻美さん(40)は、グループ解散後もバンドやソロ活動を続けますが、その最中、突然声が出なくなってしまったといいます。
私生活では俳優ディーン・フジオカさんの妹でもある藤岡さんは、現在、台湾で多くのCMやドラマに出演し、スタントウーマンとしても活躍中。「もがき苦しんだ」と語る20代を彼女はどのように乗り越え、30代での飛躍に繋げたのか――。(全2回の2回目/前編から続く)
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――20代の頃に感じていた苦しさを、当時は身近な人にお話しされることもありましたか?
藤岡 それができなかったんですよね。それよりも「後悔しちゃいけない、私は後悔していない」って、自分に言い聞かせていたんだと思います。バンドを解散したことを心のどこかで後悔していたのかもしれません。なんて馬鹿なことをしてしまったんだと。なので、後悔しないためにも、もっと頑張らなきゃ、もっと成果を出さなきゃと。
また、この頃から精神的に追い詰められてしまったせいか、まとまった睡眠が取れなくなってしまって、やっとの思いで眠りについても数時間で目が覚めてしまうようになりました。
――その頃、誰かに相談できていればと思うことはありますか?
藤岡 それはもう、chee'sが解散したときのみならず、アイドルをやっていた頃から、1人でもいいから何でも話せる大人の人がいたら違っただろうなって思いますね。今思うと、10代の自分なんて何にも分かってなかったんです。
だから、今もアイドルの方たちを見ると、ちゃんと誰かに話せているかなって心配になってしまって。みんなそれぞれに苦しいと思うんですけど、下手にチヤホヤされてしまったりするので、やっぱりアイドルはメンタルケアが一番大事だなって感じています。
「痙攣性発声障害」と診断され……
――そうした中で声が出なくなってしまったのは、ある日突然だったのでしょうか。
藤岡 舞台の稽古中にセリフをその場でつけてもらって、演出家の方が言ったことをそのまま言おうと思ったときに、急に声が出なくなってしまったんです。「あっ……」って喉がギュッと締まっちゃったような感じで。なんでこうなったのかわからなくて、当時は病名が欲しくて、色々な病院に行きました。
でも、お医者様からは「声帯きれいですね」なんて言われちゃう。外から見ても何も悪くないし、病院では静かな部屋で落ち着いて話ができるので、そういう症状が起きないんです。ただ、プレッシャーがかかるとまた声が出なくなってしまって……。
結局、痙攣性発声障害という診断でした。今思うと、その診断が正しかったのかさえ分からないのですが、「はい、私はその病気です」みたいに、とにかく病名が欲しかったんです。
――そこから治療が始まったんですね。