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「100万円単位のお金を稼げといわれて途方に暮れた」21歳の“地味な女子大生”が池袋でカラダを売り続ける“悲劇的な事情”

『ルポ池袋 アンダーワールド』より #2

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大学生の彼女は池袋の風俗で性的行為を売り、盗撮AVに出演

 城田亜里沙さん(仮名・21)は中堅女子大4年生で、大学1年生から学費のために池袋のデリヘルで働いている。風俗だけでは必要なお金が稼げなくなり、最近プロダクションに所属してAV女優の仕事もはじめていた。池袋は一般的な利用客だけでなく、風俗嬢も風俗客も埼玉県民がメインとなっている。

「AVをはじめたキッカケはデリヘルだけではお金が足りなくなっちゃったから。すぐに学費の支払いがあるから慌てて仕事を探していたとき、池袋のプロダクションを紹介された。それなりに稼げると思ったけど、まったくお金にならなかった。だから、いろいろ諦めました。AVのことはなにも知らなかったので、相場がわからなかった。いくらなんでも1本10万円くらいはもらえるんだろうな、と思っていました。けど、全然そんな金額にならなかった」

 城田さんは企画モデルである。仕事はヤラセ盗撮、ハメ撮りなどで、1現場3万円程度にしかならないという。AV女優になって2ヶ月が経ったが、月の稼ぎはずっと一桁万円なので頭を抱えていた。

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「池袋は風俗の客層がすごく悪い。ほとんどの人が本番強要みたいことをしてくる。このままだと学費が払えないってなったから、触られない撮影会の仕事がいいかなって面接に行ったんです。そこでAV女優は?って聞かれて誘導された感じです。AVって聞いて家族にバレたくないと思ったけど、バレるどころか、まさかってほど稼げなかった」

 亜里沙さんは可もなく不可もなく、どこにでもいるどちらかというと地味でおとなしそうな女の子だった。プロダクションには出演者の名前が必要とされない細かい仕事をやらされていた。アダルトサイトにあふれている盗撮映像のほとんどはヤラセであり、彼女のような末端のAV女優が安価な対価で出演している。

 コメダ珈琲は大学生や若いカップルが多かった。みんな楽しそうに話して青春のひとときを満喫していた。同じ大学生の彼女は池袋の風俗で性的行為を売り、盗撮AVに出演し、それでもお金に追われる暗い青春を送っている。

 いま大学は貧困の巣窟であり、女子学生が学費のためにカラダを売るのは普通のこととなっている。でも、彼女はどうしてそうなってしまったのだろうか。

亜里沙さんがカラダを売る理由

「風俗をはじめたのは大学1年のとき。母親が学歴にめちゃめちゃうるさい人で、国公立以外は認めないって突然騒ぎだした。私立進学だったら絶対にお金を出さないって。入試が終わった3月くらいに急にそうなって、ヤバイじゃんって風俗です」

 県立の進学校出身で、埼玉大学に落ちている。合格したのは共通テスト併用入試の中堅私立大学だけだった。その中堅私立大学はかなりの人気校で倍率は高い。入学手続きのとき、母親が中堅大学を罵りだし、初年度納入金は卒業後に母親に返済、在学中の経済的援助は一切しないといいだした。