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2022/06/20

genre : ニュース, 社会,

 そこで今回は、人びとの流れに逆らって、米原駅の外に出た。線路が南北に通っている米原駅、せっかく琵琶湖畔の駅だから、まずは琵琶湖に近い西口を歩いてみることにしよう。

日本一の湖・琵琶湖の「湖畔の駅」だが…

 ……といっても、米原駅の西口にはほとんど何もない。駅前に円形の広場があって、傍らにはタクシー乗り場などもあるにはあるのだが、あとは取り立てて語るべきものが存在していない。

 新幹線の駅でよく見かける、「ようこそ」みたいな看板もない。むりやりひねり出せば、駅前に東横インが妙に目立ってそびえているくらいなものだ。これほど何もない駅前は、新幹線の駅の中でも随一なのではないかというくらい、米原駅前には何もない。

 

 ここでちょっと個人的な思い出を語ると、数年前に米原駅前の東横インに泊まったことがある。別に米原に用があったわけではなくて、前後の取材のスケジュールからちょうどいいので選んだだけだ。

 夜になってチェックインをして、どこかで夕食をと思ったもののめぼしい飲食店が見当たらず、コンビニ飯ですませることになった。そのときには駅舎から階段を降りてきたところに駅弁井筒屋の立ちソバ店があったような記憶もあるが、それもいまはなくなっていた。つまるところ、米原駅は何もない駅なのである。

 もちろん、この何もないというのはよその地域からやってきた人の興味をひいたり楽しませるようなものがないという意味で、本当に何もないわけではない。駅の周りには小さな雑居ビルや事業所、アパートや戸建ての住宅などが並んでいるし、地場のスーパーマーケットもある。そういう何の変哲もない建物が延々と広がっている。

 

垣間見える豪雪地帯の一面

 だが、それでもこれで終わってもしょうがないので、さらに駅から少し離れたところに向かって歩いてみる。駅前の通りをまっすぐ進んだ先に何やら歩行者専用の遊歩道のような道があったのでそれを抜けると、公民館や滋賀県の文化産業交流会館なる施設にぶつかる。

 この施設の一角には、かつて東海道本線大垣~米原間で使われていたという除雪車が展示されていた。米原は意外と雪の多い地域で、とりわけ岐阜県との県境方面は豪雪地帯なのだそうだ。

 地域性を感じさせる除雪車を横目にさらに進むと、小さな川があってそれを渡ると免許センター。小学校もあって、住宅もあって、とまあこれまでと特に変わった風景ではない。

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