村田沙耶香の最新短篇&エッセイ集『信仰』が刊行された。表題作「信仰」が2021年シャーリー・ジャクスン賞にノミネートされるなど、海外でもますます注目を集めている村田さん。私たちが疑いなく信じている「現実」を揺るがす8つの作品についてインタビューした。(全2回の2回目。前編から読む)
「統一されることの危機感」から出発して
「お前は『均一』から来たのか」
「だよ。そう。」
「あんなに薄気味悪い街に住んで、可哀そうに」
「アーーーーアーーーーー」
僕は驚いて「均一語」で叫んでしまった。均一が気持ち悪い? なぜ? ここのほうがずっと不気味なのに。
――「カルチャーショック」は「マンチェスター インターナショナル フェスティバル」のイベントのために書き下ろしたとありますが、どんなイベントだったのでしょうか?
村田 文学だけでなくアートや演劇、音楽などの国際芸術祭です。私は7カ国の作家による朗読と、パフォーマーによる英語翻訳を同時に聴くことができる「Studio Créole」という企画に参加しました。私の日本語の朗読と同時に、舞台の真ん中で女性のパフォーマーが一人芝居のように英語で朗読をしてくださって、面白かったです。