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 しかし、東欧諸国からはドイツのこのような“頭越し”の対ロ傾斜に批判的な声が上がった。ポーランドの国防相は、ノルド・ストリームはウクライナ系住民の住むポーランドを独ソが分割・処分した独ソ不可侵条約の再来だ、として非難した。

 ドイツは今回、この「ノルド・ストリーム2」の「承認手続き」を停止したが、廃棄することを決めたわけではない。東欧諸国の中からドイツに対する反発の声が改めて上がっている。

「メルケル重商主義」への批判

 ロシアのウクライナ侵略の1カ月ほど前、英フィナンシャル・タイムズ紙のコラムニスト、エドワード・ルースは、ドイツのこうした「ロシアに対する贖罪の気持ちがないまぜになった商売優先という“メルカンティリズム”が、欧州の安定に役立つのか否かが問われている」と論評した。mercantilismならぬMerkantilism、つまり“メルケル(Merkel)重商主義”だという批判である。

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 ドイツのグローバル企業、BASFのミハイル・ハインツ社長は「安価なロシアのエネルギーがドイツの産業競争力の基盤であり続けてきた」と述べたが、ドイツは今後、その基盤を失うことになるだろう。

 ロシアからのエネルギーの輸入と中国への自動車の輸出の二つは、ドイツの産業競争力を支える二本柱だったが、それぞれの依存度の高さが今、ドイツの最大のアキレス腱になりつつある。