今年3月、埼玉県本庄市で住宅の床下から柿本歩夢君(当時5)の遺体が見つかった事件。埼玉県警は6月6日、同家の床下から新たに白骨化した高齢女性の遺体が見つかったことを発表した。遺体は同居していた高齢の女性と特定され、事件性を捜査する。
歩夢君の虐待と老女の失踪。いったい、この家では何が起きていたのか。関係者4人のいびつな同居生活を詳報した「週刊文春」記事を公開する。(初出:週刊文春 電子版 2022年3月9日 年齢・肩書き等は公開時のまま)
◆◆◆
「酒の飲み過ぎ」で死亡したある男性
現場となった借家は、かつて駄菓子屋が営まれていた築50年の2階建て木造住宅。ここでいったい何が起こっていたのか。
実は、この家では過去にも不審な出来事が起きている。長らく空き家だったこの物件に借主が現れたのは12年前のこと。所有者によれば、家賃は3万9000円だという。
「最初に移り住んだのは、県南の自宅を売ってきたという裕福なお婆ちゃん、その息子、お婆ちゃんの面倒を見ている別姓の老人男性の3人でした。その老人男性は昔、競艇選手だったそうで、1億円以上稼いだと自慢してました」(地元住民)
転居から間もなく、老婆の息子が死亡。老人男性は原因を「酒の飲み過ぎ」と周囲に語っていたという。
「すると、老人男性が『1人で婆さんの面倒を見るのが大変だから』と、千葉県からサポートに呼んだのが、丹羽と石井でした。来た時から2人は交際していましたね。丹羽は元ラガーマンだという少し陰気な中肉中背の男。石井は髪が長くて恰幅のいい中年女性で、夏場になると額に“冷えピタ”を貼って自転車を漕いでいました」(別の地元住民)
やがて借家の窓には、内側が見えないように目張りがなされた。