今年3月、埼玉県本庄市で住宅の床下から柿本歩夢君(当時5)の遺体が見つかった事件。埼玉県警は6月6日、同家の床下から新たに白骨化した高齢女性の遺体が見つかったことを発表した。遺体は同居していた高齢の女性と特定され、事件性を捜査する。

 歩夢君の虐待と老女の失踪。いったい、この家では何が起きていたのか。関係者4人のいびつな同居生活を詳報した「週刊文春」記事を公開する。(初出:週刊文春 電子版  2022年3月9日 年齢・肩書き等は公開時のまま)

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事件現場となった柿本知香容疑者らの本庄市の自宅 ©共同通信

 座敷席の上座に陣取る丹羽洋樹(34)は、ラーメンを頬張りながら、真向かいに座る歩夢くん(5)を執拗に責め立てていた。正座させられた歩夢くんは、頼んだチャーハンに手をつけることを許されず、黙って俯いたまま。やがて隣に座る母親の柿本知香(30)がスマホを向け、その様子を無言で撮影し始めた――。

 埼玉県本庄市内のラーメン店で、こんな異様な光景が繰り広げられたのは、蒸し暑さの残る昨年9月初旬のことだった。

 それから半年が経った今年3月5日。歩夢くんは、丹羽らと暮らす借家の和室床下――冷たく暗い土の中から、変わり果てた姿で捜査員に掘り起こされた。

 同日、埼玉県警捜査一課と本庄署は丹羽、柿本、丹羽と内縁関係にある石井陽子(54)の3人を死体遺棄の疑いで逮捕。社会部記者が語る。

「現場の民家には丹羽と石井が暮らしていたが、昨年1月頃、石井の知人だった柿本が歩夢くんを連れて身を寄せるかたちで、4人の奇妙な同居生活を始めていた」

 昨年夏。この4人が揃って初めて来店した日の出来事を、ラーメン店の店主は強烈に記憶している。