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なぜか「新庄のサプリメントは提出されていなかった」

 さらに、日本ハムの球団代表(当時)の小嶋武士氏は、我々の取材に次のように証言している。「選手たちには何度も警告していました。使っているサプリメントがあれば、チームトレーナーに全部出して検査を受けなさいと伝えていた」

 選手は自主的に自分が使用する薬やサプリメントを提出し、担当トレーナーがドーピング違反のものがないかをチェックしていた。当然、新庄監督もこのときにサプリメントを、提出しなければならなかったはずなのである。しかし、なぜか「新庄のサプリメントは提出されていなかった」(小嶋氏)という。

 

 なぜ新庄監督はサプリメントを球団に提出しなかったのか。新庄監督はその薬がドーピング違反にあたると知っており、球団チェックを逃れるために提出しなかったのではないかとの疑念がわいてくるのである。

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当時の試合は、フェアな真剣勝負だったといえるのか

 今回のこの薬物事件を突き詰めれば、問題の核心は新庄監督の野球、スポーツとの向き合い方にあると思わざるを得ない。

 ドーピングとは、薬物を使って自分の競技成績のアップを図るもので、スポーツの本質から逸脱したアンフェアな行為である。しかもアンチ・ドーピングの世界は取り締まりと、その取り締まり逃れのイタチごっこだとも言われる。

 先の北京オリンピックにおけるカミラ・ワリエラ選手のドーピング問題でクローズアップされたのも、ロシアのドーピングに対する姿勢だった。国を挙げて薬物を使用し、「分からなければ」「違反にならなければ」許されると考えるアンフェアな姿勢に大きな批判が集まった。

©共同通信社

 NPBが本格的にアンチ・ドーピングに取り組み出した2004年にはアテネ五輪が開催され、2006年のシーズン前には第1回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開かれた。これら国際大会に出場する選手たちは、シーズン中も厳しいドーピング規制に細心の注意を払ってプレーをしていた。しかしそういうアンチ・ドーピングの取り組みを知る中で新庄監督は、薬物の手助けを受けてグラウンドに立っていた。これで果たしてフェアな真剣勝負だったといえるのだろうか。