タイガースは、ジェントルマンばかり
私はいつも、阪神タイガースの優しい男たちに助けられている。
例えば、岩崎優投手と髙橋遥人投手。彼らとは地元が同じで、「プロ野球静岡県人会」の野球教室をここ数年一緒にやらせてもらっている。
岩崎投手が球児やファンと接するのを毎年そばで見ているが、試合でのクールな印象とは真逆。県人会発足当初、彼の素顔をよく知らなかった私は正直びっくりした。子どもたちには常に笑顔の優しいお兄ちゃんで、遠方から来たファンにも最後の最後まで丁寧に対応。サインを求めてきたファンに「今日はサインなしのルールだからダメなんです!」とスタッフが言っても、「これもご縁だから」と言わんばかりに歩み寄ってこっそりサインしてくれる。まさに名前の通り、優しさいっぱいの優さんだ。
髙橋投手は昨年オフ、術後調整中のため球団から野球教室参加にNGが出てしまった。人気選手だけに残念だなぁとスタッフ一同落胆していると、なんと本人自ら球団に直談判してくれて、「顔だけでも出せれば」とユニフォームを着て駆けつけてくれたのだ。もちろん、子どもたちは大喜び。私も長いことプロ野球に関わらせてもらっているが、そこまでやってくれる選手はなかなか見たことがない。こういう優しい選手たちがいてくれるからこそ、プロ野球静岡県人会の活動を続けられるのだと思う。
ほかにも、これまでタイガース時代の鳥谷敬氏や、現役時代の岩田稔氏らにインタビューをさせてもらったこともあるが、いつでも優しく、丁寧にご対応いただいた。そのため、私の中では「タイガースはジェントルマンばかり」という印象が強い。
そういえば、タイガースには球団独自で社会貢献活動を積極的に行う選手を表彰する「若林忠志賞」というものがある。これって、タイガースがジェントルマンばかりという一つの証ではないだろうか。聞くところによると、「先輩の姿を見て自分も……」とアクションを起こす選手が多いそうだ。つまり、タイガースには優しさの連鎖が生まれているのだ。(ちなみに、岩崎投手も福祉施設や保育園に玩具寄贈を行っている。優しい!)
その優しさの連鎖の中で、私が特に注目している選手がいる。抜群の存在感を放つベテラン・糸井嘉男選手だ。