差別を助長し、たくさんの人を同時に傷付ける投稿も
そしてまさにこの原稿を書いていた時期に、東急ハンズの公式Twitterアカウントが同性愛者の男性への差別を助長するようなツイートを投稿したことで批判が殺到し、大きな問題となっていた。
さらに最悪なのは、このツイートに関する東急ハンズの謝罪ツイートである。
「不快に受け止められた方に謹んでお詫び申し上げます。差別的な意図は念頭になく投稿したものですが、そのような文脈で使用されることもある単語であるとの認識が不足しておりました」
とあるが、差別的な意図の有無ではなく、差別的な文脈で使われる侮蔑的な「ネットミーム」を「ネタ」として消費する投稿をしたことが問題なのである。
企業が自社の公式アカウントにおいて「おもしろおかしい」人気取り的振る舞いを行おうとした結果、想像力に欠けた内容で多くの人を侮辱し、差別的思想や偏見を丸出しにした投稿をすることはこれまでにも何度も繰り返されてきた。
侮辱罪の厳罰化が今後、こうした企業などのアカウントによる暴走の抑止にも繋がればいいのだが。
本人からは特に何も連絡がありませんが
DaiGo氏の件で、知人Aさんの名誉のために書いておくと、Aさんからは事件があった後に直接謝罪があり(私はAさんについては特に悪いと思っていないのだけれど)、「DaiGo本人にも言っておきます」とのことだったので、Aさんには何の落ち度もありません。一方、DaiGo氏本人からは特に何もありません(2022年6月13日現在)。
遠隔コミュニケーションが充実したインターネットは非常に心地がいいものだけれど、画面の向こうにいる見ず知らずの人を指先一つで加害できる危険性については、これまでも散々指摘されてきた。
侮辱罪の厳罰化が決定した今、「指先一つでの殺人」が実現可能になったSNS社会との付き合い方を、個人のリテラシーの程度のみに任せるのではなく、加害に対してどういった形で「NO」を突きつけるのか。サービスの運営側がアカウントを即刻停止できる環境づくりをどう進めるか、ネットを介した誹謗中傷・加害行為についてより重い罰則を設けるのか……。そこまでを含めた具体的な議論が、どんどん活発になることを期待している。