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食べたいものが食べられないのがきつかった

──潰瘍性大腸炎になっていちばんつらかったのは、どんなことでしたか?

島袋 私は、生きる上で食に重きをおいている人間なので、食べたいものが食べられなくなったのはきつかったですね。だから、入院して絶食中もグルメ雑誌を読んだり、持ち込んだパソコンで大食い動画を見たりして「食べたい」欲を満たしていました。友達や親からは「こんなに食べ物が好きなのに食べられない病気なんて……」と哀れまれましたが、私はむしろ「元気になって、これを食べるぞ」という執念で見ていたように思います。

──何が食べたかったですか?

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島袋 ウチナー天ぷらです。私は沖縄出身なんですけど、沖縄って、おせち料理やお盆のオードブルに必ずウチナー天ぷらが入っているんですよ。子どもの頃から食べてきた料理が食べられなかったのはきつかったですね。

 あと、うちは家族がみんなカツ丼好きで、何かあるとカツ丼を食べていたので、そのカツ丼が食べられなくなったのもきつかったです。

おいしいものが食べたかったら自分でつくるしかなかった

──大腸摘出手術の退院祝いでも、お父様がカツ丼をつくってくれていましたよね。単行本の扉絵で紹介されている「腸にやさしいレシピ」にも、「食べられない料理をなんとかして味わいたい」という島袋さんの執念を感じます。

マンガでは「腸にやさしいレシピ」も紹介している

島袋 大腸がまだあった時はかなり食事制限があったので、おいしいものが食べたかったら自分でつくるしかなかったんです。

 父がコックだったせいか、私も料理は好きだったので、鶏ムネ肉に少し油を染みこませたパン粉をつけてオーブンで焼き、卵でとじて「鶏ムネ肉のカツ丼風」を作ったりして、それを扉絵で紹介させてもらっています。

 でも扉絵を描いたあとで、さらに研究してもっとおいしくなっているので、本当はその改良レシピも紹介したいんですよ。同じ材料で同じ料理名なので、気づいていただけないかもしれませんが……。

潰瘍性大腸炎から逃れられるんだったら全摘してもいいかな

──大腸を摘出してしまえば、「潰瘍性大腸炎」ではなくなるので、食事制限はなくなります。大腸の全摘出を決意した背景には、そうした食事制限を克服したいという思いもありましたか?

島袋 もちろんそれもありますが、ネットで大腸を全摘出した人のブログや記事を読んだら症状が安定している人が多かったので、大丈夫かなと思ったんですよね。

 それに潰瘍性大腸炎は、大腸がある限り再燃(症状が再び悪化すること)の可能性があります。実際、私は発症して3年近くの間に再燃で10回以上入退院を繰り返していたので、そんな生活から逃れられるんだったら全摘してもいいかなと、前向きに考えました。