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「切れ痔になっちゃったのかなと思い込んでた」19歳で潰瘍性大腸炎、10回の手術をした30歳マンガ家が“大腸全摘”するまで

「切れ痔になっちゃったのかなと思い込んでた」19歳で潰瘍性大腸炎、10回の手術をした30歳マンガ家が“大腸全摘”するまで

島袋全優さんインタビュー#1

2022/06/23
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ストーマ装着時の食生活

──でも、大腸を全摘出して「完治」とはならなかったんですよね……。

島袋 はい。私は大腸を全摘した後、小腸を使って一時的にストーマ(人工肛門)を造設したので、術後半年経って縫合不全がないことが確認できたら、ストーマを閉鎖して肛門からの排泄に戻して終了、となる予定でした。

 でも、手術で肛門の縫合不全が起き、そこからバイ菌が入って難治性瘻孔(ろうこう)という、肛門から体の奥に向かって膿の袋みたいなのができてしまったんです。なので、一度閉じたストーマをまた造成することになってしまって……。それから5回、ストーマを閉じては再建手術をする、ということを繰り返し、いまはまたストーマの状態です。結局これまでに二十数回入院して、10回手術をしましたが、ここ3年は何とか入院せず過ごせています。

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──ストーマ装着時は、食事や行動の制限はないんですか?

島袋 大腸を摘出したあとは、一応食事制限はなくなりました。でも、お酒を飲むと排液の量が増えてパウチが溶けて皮膚の炎症を起こしやすくなるので、お酒を飲み過ぎないでください、と言われています。

 また、消化の悪い食品を一度に大量に食べるとストーマの出口で便がつまりやすくなったり、肉や豆類を大量に食べるとガスが出やすくなったりするので、バランスよく食べてください、という指導も受けています。

 行動制限はとくにないですね。いまは体調も落ち着き、旅行にも行けるようになりました。

ストレスがたまってきたら寿司を食う

──ストレスも潰瘍の大敵です。ストレスをためないようにどんな工夫をされていますか?

島袋 病気とつきあっていくには、妥協が必要です。私は根がまじめすぎて、働けない自分が許せなかったんですが、友人や家族に支えてもらって、妥協した自分を「これでいいんだ」と肯定できるように意識を変えました。

 ここ数年は、ストレスのゲージがたまりはじめてきたら、寿司を食うようにしています! 私にとっておいしいものを食べることは、コスパのいいストレス軽減方法なんです。いまはそれがとくに「寿司」になっていて、奮発してひとり5000円のお寿司を食べると、ストレスがす~っとなくなります。毎食だと破産しますけど、月に数回くらい、とってもおいしいものを贅沢に食べるって、いちばんコスパがいいストレス軽減方法じゃないかと私は思います。ひとりでもいいですけど、誰かを誘って食べるとさらにおいしく楽しめるので、おすすめです。

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