――なるほど。しかし、今では昔と違って、朝礼をしている会社も減ったように感じます。
下井 確かに2000年前後、IT化が進んで、欧米の成果主義も導入されると、朝礼は無駄であり、必要ないとする風潮が生まれました。でも、一旦は欧米式を導入してみたものの、チームワークを重んじる日本では、個人の成果主義が合わない企業も多かったようです。
それで、やっぱり社員のコミュニケーションを活性化して、チームワークを大事にする取り組みは必要だな、と。そのためのツールとして、朝礼が見直されるようになったんです。今も、コロナ禍でリモートワークが増えたことで、よりコミュニケーションが重要視されていますよね。なので、弊社ではコロナ禍で自宅にいる人にも、「リモート朝礼」に参加してもらっていました。
“毎日続けること”が大事
――今、改めて朝礼に注目が集まっているんですね。最後に、下井社長にとって『月刊朝礼』とは何ですか?
下井 運命を良くするためのツールです。『月刊朝礼』を毎日読むことで、マナーもモラルもコミュニケーション能力も向上して、仕事もまわるようになります。でも、それだけではなく、類は友を呼ぶと言いますが、自分が成長すれば、まわりにいい人が集まってくるんです。
人に何かをしてもらった時、「ありがとう」と素直に感謝を言える人と、「当然だ」と思う人と、どちらと仕事をしたいですか?
――自分が素直に感謝を口にできる人なら、まわりに同じような人が集まってくるというわけですね。
下井 はい。ただ、出世して偉くなると、社員に「ありがとう」と言えなくなる人もいますよね。仕事に慣れてくると、向上心を忘れて楽な方に流れてしまう人もいます。
ですから、毎日、続けることが大事なんです。いい映画を観たり、いい本や漫画を読むと影響を受けるように、毎朝朝礼をやることで、自然とモラルや教養が身に付く。『月刊朝礼』を使って、毎日、毎日、いい話を読んで、頭で考える。毎日の歯磨きが習慣になるように、「良い心づかい」が、当たり前になるんです。
――朝礼と一口にいっても奥が深い世界だと分かりました。ありがとうございました。
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続く後編では、『月刊朝礼』編集部による朝礼に潜入。その一部始終をご紹介する。