そして、節目となる10周年ではなく、9周年にアンソロジーアルバムをリリースしたことから囁かれていたのは「兵役問題」だ。
BTSの最年長メンバーは年末に30歳を迎えるため、入隊時期が迫っている。韓国は北朝鮮と休戦状態にあり、韓国男性は憲法と兵役法により兵役を義務づけられている。満20歳~28歳の誕生日を迎えるまでの間に兵役に応じなければならないのだ。
ただ、例外もある。病気や、本人がいなければ家計の維持ができないなどの特別な事情を持つ場合は兵役が免除され、理工系分野での「専門研究要員」やオリンピックなどでメダルを獲得した「体育要員」、国際芸術コンクールで2位以上の入賞者は「芸術要員」として代替服務が可能となる。これは3週間の実地訓練は義務づけられるが、基本的には今まで通り、それぞれの分野に従事できるという制度だ。
2020年12月には、大衆文化においても政府が認める条件を満たしたアーティストには満30歳までの兵役延期が認められるよう法改正され、先の最年長メンバーは2022年末まで兵役延期が可能となった。ただBTS以外は条件を満たすことが難しく「BTS法」とも皮肉られた。
「短くとも兵役についたほうがいい」意外に多いファンの声
BTSの米ビルボードメインチャートでの連続首位やグラミー賞への連続ノミネートなどの功績から、「芸術要員」として、活動を続けながら代替服務ができる法案が現国会でも発議されている。実際、YouTubeでの発言を受けて、法改正を急ぐべきだという声も急浮上している。韓国紙記が言う。
「これだけの業績があり、国のイメージも上げたのだから免除すべきという人も多い。しかし、反対する声も相当数ある。慎重に行わないとBTSにとって逆に毒になってしまう可能性もある」
今年4月の世論調査では「賛成」が59%、「反対」は33%だった(世論調査会社「韓国ギャラップ」)。反対は主に20代男性に多く、「国に貢献しているといっても個人的に莫大な富も築いている。それなのに兵役まで免除するのは公平ではない」という見方が主流だ。そして、実際にファンの声を拾うと短くとも兵役についたほうがいいという声が意外に多い。40代のARMYは言う。
「7人組のパフォーマンスはもちろん見たいですが、本人たちも行くと言っていますし、韓国で活動するならば服務したほうがいい。免除されても兵役に就かなかったという“シミ”はずっとついて回りますから」