異なるケースだが、過去に人気絶頂で入隊が決まっていた在米韓国人歌手は間際に米国の市民権を取得し、兵役に就かなかった。しかし、これは兵役回避とされ、いまだに韓国に入国できていない。兵役問題は韓国では実にセンシティブな問題なのだ。
所属事務所、あたふたとした対応の“真相”
BTSはYouTubeの公式チャンネルで今回の発言を公にしたが、所属事務所は知らなかったのだろうかという疑問も湧く。前出の徐記者は言う。
「HYBE社はよほどの内容ではない限り、内容についてはタッチしないと聞いています。知らなかったのでしょう。HYBEはBTSの話を受けてこれからどう活動していくのか、調整局面に入っています。大きな宿題を抱えたといっていい。BTSはYouTubeのデジタル権力を上手く使いました」
映像が流れた翌15日、所属事務所「HYBE」の株価は24.87%も下落し、時価総額はおよそ2兆ウォン(約2000億円)近くが吹っ飛んだと報じられた。「メディアなどで解散説まで広がったため、社内にも動揺があったよう」(前出・韓国紙記者)で、HYBE代表は、社員に下記のようなメールを送ったと報じられている。
「14日にアーティストが発表したメッセージは、これから持続的に成長し、成熟するために、チームでの活動と個人の活動を並行していくことで、活動の幅をより多角的に広げようということ。チームの解散はまったく考えておらず解散にまで進むこともない」(MBN、6月15日)
BTSのメンバーも映像公開後、同じような内容を個人のSNSで発信している。
BTSはSNSが登場し、ファンとアーティストとの関係が変化する中で生まれたスターだ。今回の映像では、ARMYとの絆の固さをあらためて垣間見た気がする。入隊したとしても、その空白期間によりそれまでの勢いを失うことが多かった他のK-POPアイドルとは異なる道を辿るようにも思える。前出の韓国ARMYは言う。
「(映像公開から)時間が経った今は、ああ、バンタンはARMYに事情を説明するために、わざわざ話をしてくれたのだなあと思っています。今はメンバー一人一人の個人活動をフォローしながら、7人になった時にまたどんなパフォーマンスをみせてくれるのかを待ちたい」
世界をも駆け巡ったBTSの発言により、これからK-POPは変わっていくのだろうか。HYBE社は回答をどうだすのだろうか。