読み終えると、司会がストップウオッチを片手に「感想をお願いします」と、ランダムに指名していく。最初に指名されたのは、編集部の大河内さんだ。
「耳が聞こえていないのに、作曲するということは味が分からないのに料理をするようなもの。人間の限りない可能性を感じます。(中略)苦難の中でも負けずに前にすすむ精神は見習いたい」と、起承転結を付けてスラスラと見事に話し終えた。そのとたん、全員が「ありがとうございます!」と唱和。
さらに司会が「1分10秒です」と計測した時間を告げる。これは各自、決められた時間で意見をまとめるプレゼンテーション能力を向上させるためだという。
続いてWEB事業部の津村さんは「情熱を持ち続けることの大変さ」を、編集部でデザインを担当している櫛橋さんは、「耳の聞こえないバイク乗りの人との出会いと気づき」の経験談を、下井社長は「一日も休まず続けられる天才と凡才の違い」についてそれぞれ語った。
全員がリラックスして1分前後でスピーチをするので、毎日、朝礼前に話すことをメモしているのかと聞いてみると、そんなことはなく、ほとんどの人が即興で話しているのだという。最初は声も小さく、内容がうまく伝わらなくても、毎日、続けているうちに、その場で考えてまとめる力や話す姿勢が自然とつくそうだ。
社是や経営理念を唱和
テキストを机に置くと、再び、前方の神棚に向き直り、唱和が始まった。コミニケ出版の社是と経営理念、果たすべき責務の大要の3つである。
「コミニケ出版 社是」
「正々堂々 大道を大手を振って歩こう……」
「コミニケ出版 経営理念」
「事業誠を悉くし救済を念となす 一人ひとりの幸福の実現 企業という組織体の発展と永続 社会の平和の実現」
「コミニケ出版社員としての果たすべき責務の大要(クレド)」
「第一には、親祖先からいただいた命を大切にし、あらゆる知識と経験をいかして、自分の可能性を伸ばしていきます……」
最後の責務の大要は第六まであるのだが、全員が暗記しているようだ。近江商人が残した「三方よし」を連想させるような、売り手や買い手だけでなく、社会貢献をして世の中も良くしていこうといった内容が続く。
「今日もわが社は……」
唱和を終えると、いよいよ朝礼も大詰めを迎えた。それぞれ本日の業務内容を発表した後で、司会が「最近のニュース」を発表。この日は、司会の編集長が最近の学校で始まった防災授業について紹介し、普段からの防災準備や被災時のコミュニケーションの大切さなどの私見を述べた。