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「今日もわが社は…ツイてる!」日本の中小企業を支える老舗雑誌『月刊朝礼』編集部の“スゴい朝礼”に潜入してみた

「今日もわが社は…ツイてる!」日本の中小企業を支える老舗雑誌『月刊朝礼』編集部の“スゴい朝礼”に潜入してみた

『月刊朝礼』編集部に行ってみた #2

2022/07/09
note

下井社長セレクト「先輩の背中」(2020年10月20日の記事)

 

 ある雨の朝のことです。通勤途中のNさんは、前方にかがみ込む人の姿を見つけました。何をしているのだろうと見ていると、道に落ちているごみを拾い集めているようです。

 雨に濡れるのも構わず一心にごみを拾っている姿を、道行く人がけげんそうに見ています。Nさんも、「奇特な人もいるものだな」と思って近づいてみると、何とそれは同じ会社の先輩、Dさんだったのです。

 驚いて声を掛けるとDさんは笑って挨拶し、こう言いました。

「駅から会社までの道のごみ拾いを日課にしているんだ。きれいになると気持ちがいいだろう。雨の日でもやっぱり気になってね」

 Nさんは感動し、Dさんを手伝って残りのごみを拾いました。

 それから数日後、Nさんは駅の自転車置き場で、何台もの自転車が倒れているのを目にします。一瞬迷ったものの、雨の日に見たDさんの姿を思い出し、起こして並べ直しました。

 いつもなら人目を意識して勇気が出ないのですが、その日はそれ以上に、「世の中の役に立つことがしたい」と強く思ったのです。

 

 今日の言葉:一人の善行が誰かの意識を変えます

梶谷編集長セレクト「ちょっとがすごい」(2020年9月17日の記事)

 

 Eさんには、行きつけのおすし屋さんがあります。カウンター席でゆっくり時間を過ごすのを、週末の楽しみにしていました。従業員はみんな礼儀正しく、居心地のいいお店です。

 ある日、隣に座る男性客が、Eさんに続いて握りずしを注文しました。

 数分後、同じタイミングで、すしが2人の前に置かれたとき、Eさんはあることに気づきます。

 Eさんのすしは右手で取りやすいように置かれているのに、男性の分は左手で取りやすい向きになっていたのです。食べ始めた男性を見ると、確かに左利きでした。何も言われなくても、お客さまに合わせて盛り付ける繊細さに感心しました。

 会計時、店長に挨拶してからそのことを褒めると、店長はこう言いました。

「ありがとうございます。あの板前は、若いけれど気遣いができるんです。ちょっとのことなんですが」

「そのちょっとの差がすごいと思うんです。気づかない人が多いからこそ、際立ちますね。ごちそうさまでした」

 

 今日の言葉:上質なサービスは観察力と想像力から

 

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