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「相手を撃ち殺せば無期懲役だが、車を使えば量刑はさほど重くない」 最終局面を迎える7年目の山口組対立抗争 事件続発の裏にある“高齢化問題”

2022/06/23

genre : ニュース, 社会

 国内最大の暴力団「6代目山口組」が2015年8月に分裂し、離脱した「神戸山口組」との間の対立抗争状態は間もなく7年となろうとしている。しばらく対立抗争事件は鎮静化していたが、今年5月になってから神戸山口組の幹部の自宅への発砲や車両での突入など関西地方を中心に再び各地で続発している。

 対立抗争は6代目山口組が優位に進め圧倒的な差をつけているが、神戸山口組も勢力を維持している。だが、いずれの事件も引き金となっているのは6代目山口組サイドのため、対立抗争に決着をつけるべく圧力を加えているものとみられる。

「最終局面」を迎えつつある分裂騒動だが、対立抗争の再燃が危惧されている。

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6代目山口組の司忍組長 ©時事通信社

◆◆◆

神戸山口組トップの自宅を回転式拳銃1丁で襲撃

 神戸市北区の住宅街で、6月5日午後、十数発の拳銃の発射音が連続して鳴り響いた。

 銃口が向けられたのは住宅街の一角にある神戸山口組組長・井上邦雄の自宅だった。兵庫県警の捜査員によって、玄関ドアに多くの弾痕が確認されたという。事件発生直後、近くの交番に拳銃を持って出頭した6代目山口組弘道会系の組員が銃刀法違反容疑の現行犯で逮捕された。

 所持していたのは弾倉に6発装填できる回転式拳銃1丁だけだった。このため、銃弾6発を2回ほど入れ替えて撃ち尽くしたものとみられ、襲撃した側の執拗さがうかがわれる事件となった。

 対立抗争をウォッチしてきた指定暴力団の幹部は、「神戸山口組のトップの自宅が狙われたのは初めてのこと。6代目山口組側のいら立ちの表れではないか」と指摘する。

©iStock.com

銃撃、車両突入…すべての事件を引き起こしたのは

 5月8日未明には大阪府豊中市の、神戸山口組ナンバー2で中核組織である宅見組組長の入江禎の自宅に車両がバックで突入。門扉を破壊したとして6代目山口組弘道会系組員が建造物損壊容疑で逮捕された。入江の自宅が標的となったのも初だった。

 これまでも事務所などへの発砲や車両突入は多く発生してきた。だが、神戸山口組トップとナンバー2の自宅が続けざまに襲撃されたとの情報は、またたく間にSNSなどで暴力団関係者の間で拡散した。警察当局の組織犯罪対策を担当している捜査幹部たちは、情報収集に追われた。6月6日にも佐賀県内の神戸山口組傘下組織の事務所にも車が突入する事件が起きている。

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