分裂当初は、6代目山口組は約6000人、神戸山口組は約2800人だった。近年の暴力団排除の社会情勢もあり、双方ともに構成員数は減少を続けてきたが、神戸山口組としては2017年4月に任侠団体山口組(当時)が約400人を引き連れて離脱したこともあり、減少傾向はさらに著しい経緯をたどってきた。このほか、山健組や池田組などの中核組織もその後に離脱。神戸山口組は勢力縮小を余儀なくされてきた。
ヤクザの分裂対立抗争が「長生き競争」に?
対立抗争事件の続発について前出とは別の警察当局の幹部は、「6代目山口組組長の司忍にしても、神戸山口組組長の井上邦雄にしても最高幹部が高齢となっていることも理由ではないか」との推測を披露する。
実際に司は今年80歳となり、井上も74歳。6代目山口組ナンバー2の若頭・高山清司は75歳となる。
「何も問題がなければ、司は80歳となったことで円満に引退して後進に道を譲ってもよさそうなもの。だが、分裂して出て行った神戸山口組との問題を決着させねば引退は出来ない。『高齢だから引退する』では神戸側の存在を認めることになる。若頭の高山は何とか神戸山口組を解散させて、司の花道としたいはずだ。高齢問題が最近の事件が相次ぐ原因とも考えられなくはない」(同前)
分裂対立抗争について詳しい関係者は、「このままでは、お互いの親分がますます高齢となっていく。どちらが長生きするかという争いになってしまう。言ってみれば、『長生き競争』の状態だ。ヤクザのケンカがそれでよろしいのかという考えもある」と強調する。
抗争が終結する前に「事件を起こして手柄としたい」という思惑も
前出の警察当局の幹部は、「事件の続発は抗争終結をにらんだ動きかもしれない」とも述べる。
「抗争が終結してしまえば、ケンカの相手がいなくなる。それでは自らの力を誇示する場がなくなる。終わってしまう前に『事件を起こして手柄としたい』という思惑もあるはずだ。傘下組織の中にはそうした考えもなきにしもあらずではないか」
こうした見立てを裏付けるように、ある指定暴力団幹部は「まだまだ、続きますよ」と不穏な見通しを述べている。(文中敬称略)
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