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「史上最悪の暴力団抗争」80年代「山一抗争」はいかにして収束したのか 山口組対立抗争の終結に足りない“ある要素”とは?

「史上最悪の暴力団抗争」80年代「山一抗争」はいかにして収束したのか 山口組対立抗争の終結に足りない“ある要素”とは?

2022/06/23

genre : ニュース, 社会

 そもそもの出発点を振り返れば、神戸山口組を結成した中心組織は山健組だった。山健組は5代目時代には組長を輩出し、山口組内の最大派閥として君臨していた。関東で活動している指定暴力団幹部は、「関西どころか全国の暴力団社会に山健組の威光は伝わっていた。ヤクザ社会の金看板といって差し支えない」と解説する。

「すべてカネが問題」神戸山口組組長の井上を非難

 2015年8月の分裂以降、当初は神戸山口組に加入する暴力団組織が相次ぎ、勢いがあったのは事実だった。2015年11月、6代目山口組の直系組織である熊本組が加入。直系組織の移籍は驚きのニュースとして伝わった。さらに12月には同じく直系組織の古川組も移籍した。さらに、暴力団業界では重鎮とされた、太田守正が率いた太田興業の加入も明らかになり勢力は増強されていった。

神戸山口組の井上邦雄組長 ©️時事通信社

 しかし、2017年4月、勢力縮小の始まりとなる出来事があった。

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 神戸山口組最高幹部の織田絆誠が一部勢力を引き連れて離脱。織田を代表とする任侠団体山口組が結成された。同組は結成時に異例の記者会見を開き、神戸山口組を痛烈に批判した。上納金を低く抑えるはずだったが、臨時徴収などが始まり異常な金銭の吸い上げがあったと明かした。

 2度目の記者会見では神戸山口組結成について、「山口組史上例を見ない『大型分裂詐欺事件』であった」と暴露。「大義も志もない、上に立ってはならない人物が上に立ってしまった」と、名指しはせずとも神戸山口組組長の井上を非難した。当時、警察庁幹部は、「6代目の分裂も問題はカネ。神戸山口組の再度の分裂も問題はカネ。すべてカネが問題」と指摘していた。

 分裂状態が流動性を増すなか、2019年11月、前出のように古川が射殺された。

発砲事件があった神戸山口組系の組事務所近くで警備する警察官ら ©共同通信社

神戸山口組から中核組織の山健組、池田組が離脱

 2019年の12月、太田は突然引退を表明。熊本組も解散することとなった。この年は、さらに神戸山口組から中核組織の山健組、池田組が離脱することが明らかになり、暴力団業界に衝撃的なニュースとして伝わった。

 山健組をめぐっては2019年4月、若頭の与則和が刺されて負傷する事件が発生。後に組長の中田浩司が報復のため自らヒットマンとなり、逮捕される異例の事態となる。池田組では2016年5月と2020年5月に2代続けて若頭が銃撃される事件が起きていた。中田は報復に乗り出したが、事前にはいずれも神戸山口組として報復を許すことはなかった。

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