2017年、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。フード部門の第2位は、こちら!(初公開日:2017年10月17日/イカ・白身魚フライ編、アサリ編、ウナギ編も公開中)。
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「週刊文春」誌上で展開した「中国猛毒食品」キャンペーンは、読者から大きな反響を呼びました。取材班の一人だった徳山大樹記者が近著『怖い中国食品、不気味なアメリカ食品』(奥野修司氏との共著、講談社文庫)で書ききれなかった「潜入取材」の内実を、衝撃的な写真とともに明かします。
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まずは下の写真を見ていただきたい。トラックの荷台に積まれた緑色の物体は、ゴミじゃない。日本にも輸出される青菜の漬物だ。中国・四川省の漬物加工場に入ってきたこのトラックには、冷蔵設備はおろか、容器や袋などにも入れられず、荷台に直に置かれた漬物がうず高く積まれている。地面が濡れているのは、荷台から滴り落ちる青菜の汁のせいだ。
あまりにも雑に扱われた青菜は、ここから6時間ほど離れた契約農家で一次加工され、二次加工を行う目的で運ばれてきたという。その後、再び野積みされ、輸出のために数時間かけて港まで運ぶと、加工場の警備員が説明してくれた。当時、四川省の気温は35度前後あったため、青菜からは鼻を突く異臭がたちこめていた。
これは、2013年~2014年にかけて「週刊文春」で「中国猛毒食品シリーズ」の現地取材をしていた際、私が目撃したものだ。今回は、日本向けに輸出されていることを確認した中国食品の中で、実際に見たひどい中国産漬物をいくつかご紹介したい。
加工場の中は「衛生面の問題から見せられない」
潜入を試みたのは、漬物の一大産地・新繁の漬物加工場だ。四川省の省都・成都から車で1時間半ほどの場所にある。若い中国人運転手を手配して訪れた。
「当社は、青菜、ニンニク、しょうが、大根、ニンジンなどの漬物を作っています。常温で、16カ月持ちますよ。安全面に問題ありません。中国のCIQ(中国検査検疫局)の調査に合格していますから」
事務所にいた国際市場部の担当女性は、愛想よく応対してくれた。日本との取引は中国のバイヤーが間に入り、「今回は青菜が何トン」など、必要に応じた量の漬物を納めるという。
「日本のどんな企業と取引しているか、バイヤーでないとわかりません。製品のパッキングの仕事は、日本企業とバイヤーで行います」
新しい商談相手だと思ったのか、担当者は正直にこちらの質問に答えてくれた。
ところが、加工場の中を視察したい旨を伝えると途端に笑顔が消え、「衛生面の問題から見せられない」と断られた。