東京や名古屋、はたまた岡山や広島などから大阪へ行こうとすると、玄関口はたいてい新大阪駅になる。中には断固飛行機派という人もいるだろうが、やはり東海道・山陽新幹線の存在感は絶大だ。つまりは、大阪の玄関口は紛れもなく新大阪駅なのである。
そしてこの新大阪駅、個人的には日本でトップクラスの複雑な駅だと思っている。
渋谷駅や新宿駅、大阪・梅田駅などは“ダンジョン”などと言われてその迷宮ぶりが話題になることしばしばだ。対して、新大阪駅がダンジョン扱いされることはあまりないような気がする。
それは新幹線で新大阪駅にやってきた人の多くはすぐにそのままJRの在来線に乗り換えるか、地下鉄の御堂筋線に乗り換えるか、もしくはタクシーか、いずれにしてもすぐに新大阪の駅から離れてしまうからだろう。
確かにその点では新大阪駅はよくできていて、乗り換えに戸惑うようなトラップは設けられていない(せいぜい御堂筋線には列車の真ん中に終日の女性専用車両があるので、東京からやってきた男性陣が悲劇に見舞われるくらいだ)。
だが、改めて新大阪駅とその周辺を歩いてみようとすると、これがまた恐ろしいほどにいくつもの施設が輻輳していて複雑怪奇、やっかい極まりない大迷宮であることがわかってくるのだ。
というわけで、さっそく新大阪駅を歩きつつ、その複雑性をほぐしていくことにしよう。
「まず在来線が地上1階、地下鉄が地上3階というのが新大阪駅を複雑にしている」
東海道・山陽新幹線のホームは新大阪駅でいちばん高い、地上4階にある。そこから改札口のあるコンコースへは階段やらエスカレーターやらを降りればいいだけだからわかりやすい。
そしてそのコンコースの東側にはJR在来線のコンコースに通じる連絡改札がある。新幹線も在来線も、どちらも地上3階にコンコースがあるのでこのあたりはこの駅の実に便利なポイントといっていい。在来線のホームは、そこから階段を降りた地上1階である。
御堂筋線は新幹線の改札口を出て、文楽人形やら千成びょうたんやらがある広い通路から地上2階に降りて、商業施設の間を抜ければ改札口が待っている。ホームは地下鉄のくせに地上3階にあるので、階段を登ればそれでOKだ。
ちなみに、さらにそこから地上に降りると「正面口」などという高架下の薄暗い出入り口がある。修学旅行生などが新幹線乗り降りの際に集合しているのはだいたいその正面口の階段の脇だ。