あるフリーク関係者は匿名を条件に、誓約書の本当の“狙い”が金銭だけではないと明かした。
「誓約書の狙いは要するに、社長や事務所には絶対服従で、自分の意志を持たない駒になれということ。『アイドルにとってファンこそが彼氏』という幻想を実現しようとしているとも言えますが、実質は奴隷契約に近い。しかも事務所側が契約書を遵守するわけでもなく、書いてある通りに4カ月前に『辞めたい』と伝えても、何かと理由をつけてスムーズに辞められることは少ない。最近は強権的な手法をやめてクリーン化を進める大手事務所も多いですが、ウチは真逆ですね」
足を疲労骨折しても「特典会だけでも出ろ」
しかし小咲さんは契約書・誓約書のリスクに気づくことができず、2021年4月にフリークと契約。翌5月には『#PANnana』のメンバーとしてステージデビューを果たした。しかしグループ活動のあまりの多忙さに、小咲さんの体はすぐに悲鳴を上げた。
「ライブがある日の朝は始発で家を出て、リハーサルをしてライブや特典会(ライブ後にファンとチェキを撮影したり握手したりする会)を終えたらもう夜です。週2回のレッスンも18時半から23時までで、帰りはほとんど終電。階段から落ちて足を捻挫してもライブやレッスンを休ませてもらえず、6月にはついに左足を疲労骨折してしまいました。その時も運営からは『特典会だけでも出ろ』と言われました。7回くらいは松葉杖をついて特典会に出たのですが足はどんどん痛くなり、メンタル的にも追い詰められていきました」(小咲さん)
松葉杖をついて笑顔で写真撮影をこなすのはあまりに過酷だが、フリークや小口氏が小咲さんにライブの欠席を許さなかったのには、ライブアイドル業界のある事情が関係しているという。
「ライブアイドルの運営にとって、アイドルとの2ショットチェキを2000円程度で撮れる特典会はまさに“ドル箱”。アイドル1人でライブ1回につき20万円近い売り上げになることもあります。当時の『#PANnana』は小咲さんが稼ぎ頭だったので、月に300万円くらいは売り上げが見込める。取り分は1/3がアイドル本人で、残りの2/3は事務所のもの。事務所としては休みを認めればその分収入が減るので、休ませるわけにはいかないんです」(事務所関係者)