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「出産後は心の闇が一番深かった」「輝いているお母さんたちへの妬みも」優木まおみが経験した“産後クライシス”と“芸能界での葛藤” 《40代からの新しい働き方》

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genre : エンタメ, 芸能

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美容室にすら行けない日々に夫は飲み会

優木 私は美容室にすら行けていないのに、夫は毎日仕事に行って、たまに飲み会に行ってと普段通りに過ごしている。それに対して私がキレてしまって。話し合いを重ねるうちに夫も歩み寄って、家事や育児を手伝ってくれるようになりました。

 でも、当時の記憶を振り返って思い出すのは、どんよりとした曇り空の下、小さな洗濯物を洗って干している自分の姿。出産後は心の闇が一番深かったかも。

優木さんと2人のお子さん(優木まおみさんブログより)

仕事と育児に追われ、本当はギリギリボロボロ

――産後の悩みは周囲に話しにくいものでもありますよね。

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優木 そうなんです。いろんな方から「お仕事と育児の両立をされてて偉いですね」とか「すごいですね」って言われるんですが、実際は全然できてないんです。「本当はギリギリボロボロなんです」って言いたいけれど、言えない。

――2人目のお子さんを出産したのは36歳の時ですよね。1人目と比べていかがでしたか?

優木 それが妊娠中に切迫早産と診断され、3週間入院することになってしまったんです。入院中は育児から解放されましたが、絶対安静だったため体力、筋力がぐっと落ちてしまって。その状態で2人の子供の育児をするのはハードでした。体の不調が心にも影響して、生きるのがつらいとすら思ったこともあって。

 そんな時に偶然、近所のピラティス教室の前を通りかかり、救いを求めるように門を叩きました。ピラティスという言葉や、筋肉がない人でもできるエクササイズということは知っていたので、試してみたいと思って。

©文藝春秋

――ピラティスを始めてどんな変化がありましたか?

優木 ピラティスには“健全な心は健全な体に宿る”という精神があるのですが、それを実感しました。産後、自分を犠牲にして子育てする中で、邪な私……“邪おみ”が出てくることがあって。私は身を粉にして子供に尽くしているのにとか、あの人は自由な時間があっていいねとか、子供や周りの輝いているお母さんたちに対する妬みの感情が溢れてしまうことがあったんです。

――でもピラティスで体を整えると“邪”が消えていった。

優木 邪の感情はSOSのサインだと思うんです。普段は気にならないことでも、疲れていたらイライラしてしまいますよね。そういう時の自分は通常の精神状態じゃないんだから、救ってあげたらいいんだって気づいたんです。楽したり、やらなきゃいけないことをちょっと後回しにしてダラダラしたり……。心を空っぽにしてじっくりと自分と向き合う時間を作ったら、邪が消えていって。

優木 自己犠牲は尊いという風潮はまだ残っているし、母親はこうあるべきだとか考えてしまいがちだけど、自分のご機嫌を取ることは、周りで過ごす人のためにもなる。呼吸を整えたり、お風呂の中でマッサージをしたりして、体をリセットする時間を作るだけでも、ふっと心が軽くなるんです。