――確かに、意識せずに自分のことを決めつけてしまっていることはありますよね。
優木 私は37年間、自分を「体が硬い人」だと思っていたんです。でも、ピラティスを始めて1、2年で「体が柔らかい人」になっちゃった。そういう経験からも、私ってこうだからっていう思い込みは、実は全部変えられるんじゃないかなって。
死ぬまでいい具合に衰えながら、元気でいれたらいい
――40歳を機に、新しい「優木まおみ」さんに生まれ変わった。
優木 妊娠と産後を考えると30代って自分の時間はほとんどなかったんです。出産前までの自分とは別の人生を生きているという感覚に修正して、新しい自分“new me”を受け入れられるようになるまでに10年かかりました。でも今はピラティス講師という仕事が面白くてたまらない。私は去年、身体美容家認定協会を立ち上げて、ピラティスをベースに考案したマオビクスと、マオロジーというマッサージメソッドを広める活動を始めました。いつか、海外にも広がって、私のことを知らない人がいいと思ってくれたらうれしいなって。
ピラティスも、創始者のジョセフ・ピラティスさんの名前からきていることを知らない人は多いですよね。そんなイメージで、100年、200年後にマオビクスの創始者って芸能人だったらしいよって言われるようになったら面白い。
――奇跡の40代と言われていますが、今後の50、60代にどんなビジョンを持っていますか?
優木 そんな全然、奇跡とかじゃないです(笑)。確かにピラティスのおかげで42歳の割にはいい体でいられているかもしれない。もちろん、これからもピラティスは歯磨きみたいに、ずっと続けていきたい。バランスよく、タレントのお仕事と両方続けられると嬉しいですね。でも、私は“自分史上最上の体”を目指すつもりはなくて、疲れず動けて、やりたいと思うことを子供と一緒に躊躇せずやれるくらいの元気さがあればいいと思っているんです。死ぬまでいい具合に衰えながら、元気でいれたらそれでいいなって。
――素敵ですね。
優木 この先、子供が大きくなって一緒に過ごす時間が減った時に、ぽっかり穴が空いてしまわないように、準備をしています(笑)。意識してパパと2人の時間を作って、ランチに行ったり、映画に行ったり……。最近は、共通の趣味として「脱出ゲーム」に挑戦しようか?と話しています。いつか2人で船旅とか、世界一周をしたいと思っているんですが、夫婦2人の時間に慣れていなさすぎると、話すことがなくて気まずくなりそうだから(笑)。「脱出ゲーム」にハマるかどうかに私たち夫婦の命運がかかっています。
撮影=佐藤亘
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