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「出産後は心の闇が一番深かった」「輝いているお母さんたちへの妬みも」優木まおみが経験した“産後クライシス”と“芸能界での葛藤” 《40代からの新しい働き方》

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genre : エンタメ, 芸能

SNSで誰かに見せようとするとストレスに

――普段の生活で気を付けていることはありますか?

優木 ちょっと病みそうな時はSNSを見ないことですね(笑)。反射的に他人と比較しちゃって、私はダメだなって思ってしまうから。そんなの見ないで堂々と、「たくさん働いたんだから今はダラダラと韓流を見てリフレッシュタイムだ!」って、その時間を満喫する。お弁当にしても、写真を撮ってSNSに載せようと思うから気張っちゃうだけで、シンプルに子供が喜んでくれるものを作るのはなんてことない。誰かに見せようとする時にストレスが生じると思うので、そうしなければいいんです。

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――他人との比較や、他人からの評価に悩まされないようにコントロールしているんですね。

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優木 それができるようになったもう一つの理由は、40代になった時、人生が限りあるものだと気づいたから。今後いくら医療が進化しても、人生が200年になることはない。ってことは、このあたりが折り返し地点ですから。

――現在の日本人女性の平均寿命は87歳。43、44歳くらいで半分になりますね。

優木 今まで生きてきて永遠に思えてきた人生が、天寿を全うしたとて残り半分くらいだと思った時に、他人と比べて悩む時間なんて1秒でも無駄だなって。それに気づけたことで、心がずいぶん楽になったんです。今は他人からの目線や評価より、自分や家族が楽しいかが判断基準になっています。仕事に対する考え方も、40代になってだいぶ変わりました。

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地上波レギュラーに出ないと「落ちちゃったんだ」

――どのように?

優木 私は20年近く、芸能界で成功しなければ自分は幸せになれないって思いこんでいたんです。地上波レギュラーに出ていなければ、視聴者から「久々に見た」という言葉を投げつけられてしまう。その言葉をすごく気にして、みんなに認められる芸能人でいるために頑張らなくちゃと思っていました。

 私も同じように、心のどこかで誰かのことを「ああ落ちちゃったんだ」という目で見ることもあったと思います。そんな自分が嫌で、芸能界から一歩、離れてみたいと思いながらも、離れたら何もないって思い込んでいるからしがみついて。でも、妊娠出産を経て20代と同じようには仕事ができなくなって……。

――働き方が変わって、どうでしたか?

優木 人間界ってもっと広いんだって気づけました。タレントやモデルという本業があるからこそできたのかもしれませんが、40歳でピラティス講師の新人として新しいチャレンジができた。生き残り方なんて、いくらでもあるんです。これがないと生きていけないとか、この仕事じゃないと無理とか、そんな固定概念を崩してみると、新しい道が拓ける。人間なんてちっぽけな存在だから、思ったより何もできないけど、流れに乗ってるとなんとかなるというか……。