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4歳~9歳でレースを始める人たちが増えている

ーージュリアーノさんが13歳になったのを機に、お父様が「レース始めたい? 始めたくない?」と訊いたのはなぜでしょう。 

アレジ パッションがあったから。エンジンとか、そういうものが大好きだったの。あと、13歳になって自分の考えがだんだんとできてることに気づいてくれてたと思う。自分の考えがあるだろうって。いまは、4歳から9歳の間でレースを始める人たちがすごく多い。 

ーーそんなに早くから。 

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アレジ 早すぎると思う。若く始める子たちはのほとんどは、その家族が走ってほしいと願ってるだけなの。子供が「どうしても僕は走りたい」とは言ってない。それに、そんな早くから始めると、学校も行けなくなっちゃうし、楽しいはずのものがストレスになっちゃう。 

 

 僕もレースしてる時、そういう親子を何度も見た。お父さんが怒って、息子に「どうしてオーバーテイクしないんだ! なんで、そういう運転の仕方をするんだ! 俺が言ったことを、なんでしないんだ!」とか怒って。子供は楽しんでいたのに、怒られちゃうとどうしていいのかわからなくなる。そのうちに、大ストレスになっちゃう。そういうのって、幼い子供になんの意味もない。 

ーーお父様は、そこもしっかりと考えられていたのですね。 

アレジ お父さんは、他の子と結果を比べたりしなかった。比べていたのは、モチベーションとセルフディシプリン(自己鍛錬)。お母さんも、レース以外で同じことを言ってた。セルフディシプリンがとても大切だって。 

ーーお父様は「レーサーになれ」と強制しなかったわけですね。それはジュリアーノさんにとって、幸福なことであったと。 

アレジ ぜんぜん言わなかった。もちろん、僕はレーサーになりたかったので自分から言い出した。もし「どうしてもレーサーにならなきゃ駄目」と言われていたら、嫌だったはず。そうならなかったのは良かったよね。 

ーーたとえば、お父様がレース自体のことをアドバイスしようと思っても、現在と昔では環境や考え方が違っていて、助言しにくいといったことは。 

アレジ たしかに、昔といまでは違うことはある。でも、僕がなにか問題をお父さんに説明すると、お父さんが僕だったらどうするかを考えてアドバイスしてくれる。

 

 あと、いつも僕が出るレースを見てるの。それで「ここは上手だったけど、あそこではこういうランしてた。他の人たちは違ったランしてるけど、あなたはそこをどう考えてるの?」って、外から見えるものを教えてくれる。 

 その言ってることが、正しいの。やっぱりここは速くなかった、違うブレーキの踏み方だった、違うアクセルの踏み方だったとかがわかる。 

ーーお父様がレーサーであるというのは、ジュリアーノさんにとって、メリット、デメリット双方あるものですか? 

アレジ 僕はメリットしか見ない。他は見ないし、見たくないし、考えたくない。「ああ、私はお父さんの大ファンだった。彼の息子が走ってるなら、見てみたい」というキュリオス(興味津々)な人たちは多い。もちろん、「息子だからって、なに?」と思う人も多いし。だけど、お父さんはお父さん、僕は僕だから。そういうふうにしか考えてないね。