1980年代後半に美少女ブームを巻き起こした女優の後藤久美子(48)を母に、1990年代のF1界で活躍したレーシングドライバーのジャン・アレジ(58)を父に持つ、ジュリアーノ・アレジ(22)。
父と同じレーシングドライバーの道を進み、2021年からはTOM'Sに所属して活動の拠点を日本に移している。
そんな彼に、生まれ育ったヨーロッパと日本の違い、母との思い出、「ゴクミの息子」「アレジの息子」として見られることなどについて、暮らしてもいる御殿場にあるTOM'Sのオフィスと工場で話を聞いた。 (前後編の前編/後編を読む)
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今は「御殿場」在住…ヨーロッパとの違い
ーーチームのオフィスと工場がある、この御殿場にお住まいなんですよね。ほかのインタビューで「僕は静かなのが好き。大きな街の興奮は合わない」とおっしゃっていますが、生まれ育ったフランスやスイスと御殿場はどこか環境が似ていますか?
ジュリアーノ・アレジ(以下、アレジ) 少し似てる。フランスとスイスは、もうちょっと静かな感じで、全部がもう少し広い。道路も広いし、渋滞もない。
やっぱり、パリやニューヨークみたいなバタバタした大都市に住んだことないから、いきなり都会には住めない。都会が好きな人たちはいられるだろうけど、僕はできない。 運転するにも、時間によっては渋滞がすごいし、センターラインもわかりにくいしね(笑)。
あと、ランニングが好きだし。東京でランニングするのと御殿場でランニングするのは、広さで違いがけっこうあると思うから。
ーー逆に、フランスやスイスと、今住んでる環境の違いは?
アレジ やっぱり、言葉。でも、細かい違いもいっぱいある。
たとえば、左ドライブ。ヨーロッパは右ドライブだから最初は慣れなくて「おおっ」って、急ブレーキをかけたこともあった。信号も、ヨーロッパは近くにあるけど、日本ではまっすぐ遠くにあるの。そういうのは全部、やっぱりアダプテーション(順応、適応)が必要だった。
ーーいまでは問題もなく。
アレジ 信号とかは、もう慣れました。スーパーもいつも同じところに行くから、どこが野菜、どこが肉、どこがお菓子とか、全部わかってる。
ほんと、最初に来た時はぜんぶがわからなかった。料理するから、野菜とか肉の場所がわからないと大変で。しかも、日本語は読めなかったし。いつもお店の人に「すいません、これ探してるんですけど、どこで見つかりますか?」って。
チームのオフィスや工場も、前はGPSがないと行けなかったけど、いまではGPSなし。ライフスタイルをゼロから始めなきゃいけないから、それが難しかった。