俳優の藤原紀香がきょう6月28日、51歳の誕生日を迎えた。今月最終回を迎えたドラマ『恋なんて、本気でやってどうするの?』(カンテレ制作・フジテレビ系)では、藤木直人演じる天才シェフをフランスから訪ねて来て波瀾を起こすミステリアスな美魔女役で登場し、話題を呼んだ。
芸能界入りのきっかけは「見合いの箔付け」
芸能界デビューのきっかけは、いまから30年前の1992年、神戸親和女子大学に在学中、「ミス日本グランプリコンテスト」でグランプリを受賞したことだ。自らエントリーしたのではなく、母親が知らないうちに応募していたという。ただ、母は、彼女が受賞を機に芸能界へ入ろうとすると、父とともに猛反対した。母としては見合いの箔付けになればいいと思って応募したにすぎなかったようだ。結局、大学を1単位も落とさずに卒業することと、上京はせず実家から通うことを条件に両親の許しを得て、モデルの仕事を始める(※1)。
そんな藤原に東京へ出て本格的に俳優として活動したいと思い立たせたのは、本人が折に触れて語っているように、1995年の阪神・淡路大震災だった。地震の起こった1月17日、海外での撮影から帰国すると、関西空港のテレビで被害状況を知り衝撃を受け、家族の生死もわからないまま電車で行けるところまで行き、実家までは線路沿い10キロの道のりを歩いてようやくたどり着く。その途中で見た想像を絶する光景に、人命のはかなさを思い知ったという。のちに著書でこのときを振り返り、次のように書いている。
《自分はたまたま生きているけれど、今、がれきの下に埋まっているのが自分であっても何の不思議もない。絶望的な思いでよろよろと歩きながら、私は一回、命を拾ったのだと思わずにはいられなかった。/死ぬ間際に、やり残したことを後悔しながら死ぬのだけは嫌だ。もしこのまま生きて帰れたら、どれだけ反対されても残りの人生、自分の夢に向かって思いきり生きてみようと心に誓った》(※2)。
それからしばらく地元の人たちと助け合いながらすごし、3月も後半になって周辺がようやく落ち着いたころ、両親の説得にかかる。父は最後まで首を縦に振らなかったが、上京前日にトラックを用意すると、彼女と荷物を乗せて夜通し東京まで運転してくれた。
とはいえ、東京に出てからしばらくは、オーディションをいくつも受けては落ち続けた。一方で、上京前より、女性誌のモデルの仕事とあわせ、いくつかの企業のキャンペーンガールを務めており、やがて男性誌で水着姿を披露する機会も増える。それだけに、駆け出し時代は、とかくスタイルのよさなどルックスが注目されがちだった。